読書中毒日記 特別編 中間淳太の推しミステリ

文字数 2,839文字

ジャニーズWESTのメンバーとして大活躍中の中間淳太さん。

実は、かなりのミステリ好きとしてファンの間では知られている。

小説現代特集「令和探偵小説の進化と深化」にあわせ、

好きなミステリ小説3作を中心に、自身の創作活動についても語ってもらった。


(聞き手「小説現代」編集部)

ミステリばかり買ってしまいます


――小説に出てくる探偵のようなイメージでの撮影、ありがとうございました。出版業界の中でも、中間さんはミステリ好きと評判です。いつから読書を趣味にされていたのでしょうか?


中間 本格的に読書をするようになったのは、高校生くらいからですね。小・中学生の時は、ほとんど本は読んでいませんでした。高校に入学するまでは徒歩で通学していたのですが、高校は電車で通わなきゃいけない距離になって。その通学時間で読むようになりました。阪急の三宮駅前にあった書店によく行っていましたね。


――読書にはまるきっかけとなった最初の本は覚えていますか?


中間 たしかミステリでした。東野圭吾さんだったと思います。完全にカバーと帯買いでした。僕、本を買うときは昔からカバーと帯を参考にして買うんですよね。いわゆるジャケ買いです。東野さんのミステリは読書初心者にもわかりやすく、楽しめる作品が多いですよね。


 ――やはり、小説のジャンルではミステリがお好きなんですか?


中間 そうですね。それ以外の作品も読みはしますが、好みとしてはついミステリばっかり買ってしまいます。


――それから何年も本を読まれてきて。その読書体験が芸能活動に役立つようなこともあるのでしょうか。

 

中間 かなり役立っていますよ! 語彙力が圧倒的に増えますね。僕は作詞もするのですが、言葉の数が、歌で描きたい世界へのインスピレーションにも繫がっています。それに、想像力も鍛えられますね。映画やドラマという媒体は、既に完成された映像が情報として頭に入ってきますが、小説だと読みながら頭の中で映像を作れる。今は別のメンバーが担当していますが、ライブの演出などをする時に頭の中で絵を浮かべやすかったのは、読書の習慣が活きているんじゃないかな、と思っています。


――小説を読んでいて絵が浮かぶんですね。ちなみに、その絵は実写映像なのでしょうか?アニメ的なものなのでしょうか?


中間 実写ではなく、アニメの映像で浮かぶことが多いかもしれない。登場人物たちの台詞も、全員違う人の声で再生されていますよ(笑)。


――ちなみに、今日ご紹介いただく作家のひとり、相沢沙呼さんも執筆時にアニメの絵が浮かぶタイプだそうです。


中間 えっ、それはめちゃくちゃ嬉しいですね!



本当に恋しちゃいました


――そんなわけで、今回、好きな作品として3作品、3つのシリーズを挙げていただきました。1作ずつ、お話を伺わせてください。まずは先ほどお名前が出た相沢沙呼さんの『medium 霊媒探偵城塚翡翠』。これは中間さんにとってどのような作品でしょうか?


中間 僕の中でナンバーワンのミステリ作品です! 本当に面白かった。これも手に取ったきっかけはジャケットでしたね。帯で本格ミステリ大賞やミステリランキング5冠などが謳われていて、何やらすごそうだぞ、と。遠田志帆さんのイラストもとても素敵で。良い意味で取っつきやすそうな見た目なのに、色々な賞を獲っているのが気になって手に取りました。……そこからは一気読みでしたね。スマホの待ち受けも翡翠ちゃんにしてるくらい好きなんですよ。作品としてももちろん、遠田さんのイラストも大好きなんです。


――読了後の感想はいかがでしたか?


中間 やられました! 僕はミステリを読むとき、ちゃんと犯人を推理しながら読むんです。この作品では、犯人までは推理できたんですが……、ラストまで読んで「えっ⁉」っという感じで。もう、作中の犯人と同じ気持ちになりました。「マジで⁉」と思わず声が出ました。何回読んでも面白いですね。結末を、すべてを知ったあとでも、「なるほど、この描写はこういうことか」と、また違った角度で楽しめます。


――ミステリ読みだと、ある一点までは予想がつくじゃないですか。でも……。


中間 そう、みんなそこで止まっちゃうと思うんです。それ以上推理しない。でも、それ以上があるんだ! って。自分にとって衝撃を与えてくれたミステリです。あまりに面白すぎて、いろんな人に紹介したいんですが、どう紹介してもネタバレになるから、どう紹介していいのか迷うんですよね。あらすじしか言えない。なので、この初版の帯に書かれている「すべてが、伏線。」というキャッチコピーはお見事でした。


――今回、続編の『invert 城塚翡翠倒叙集』が発売になりましたが、そちらはいかがでしたか?


中間 めちゃくちゃよかったです! 「すべてが、伏線。」から「すべてが、反転。」に。またやられましたよ……。前作を読んでからずっと、続編はどうするんだろうとずっと疑問に思っていたんです。ラストの衝撃的などんでん返しで、すでに物語にとっての致命的なネタバレがされているわけで……。でも、まさか「古畑任三郎」的な犯人視点の倒叙ミステリでくるとは。こんなやり方があるとは! 特に第3話は素晴らしかったです。犯罪界のナポレオンと呼ばれる犯人と、城塚翡翠が戦うお話。前の2話とはまた違った展開というのも面白かったです。ラストにはまたまた騙されましたね。「おまえ……! そうか……!」となりました(笑)。記事では書けないですが1作目も2作目も、××××や××××でも、伏線を張っているじゃないですか。全然気が付けませんでした。やられました……。


――スマホの待ち受けも翡翠ちゃんとのことですが、彼女のどこに魅力を感じますか?


中間 『medium』のラストで惹かれたんでしょうかね……。あざとかわいい部分はもちろん好きなんですが、最後のエピローグで翡翠の感情が少しだけ見える部分。あそこは本当にかわいいです。守ってあげたい純粋さもあれば、しっかりと犯人と戦おうとする力強さもある。色々な顔があるのが魅力的で、こんな人と付き合いたい……。本当に恋しちゃいました。


――もともとのタイプの女性に近いキャラクターだったのでしょうか。


中間 翡翠ちゃんみたいに品がありつつ、天然っぽさもある人には惹かれますね。小説の登場人物なので、中々現実にはいないのが残念です(笑)。僕の好みはわかりやすいのか、『medium』を読んだ感想をファンの方からいただくことがあるんですけど、大抵の方に「翡翠ちゃん好きそうですね」って見抜かれています。ファンの方も読書中は色々感じていたようですが、最終的には「やっぱり翡翠ちゃんは魅力的でした」と言わせているのがまた翡翠ちゃんのすごいところですね。


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