◆No.5.神遊の舞台とテーマ曲
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物語にも登場する三上山は『近江富士』と呼ばれています。
東海道新幹線に乗って京都から東京へ向かうとき、右手に見えます。
京都駅を出発して間もなく現れる、すっきりした形の三角の山で、すぐに分かります。
物語でも新蔵人に語らせていますが、見る位置により、三上山は「うそ!」と言いたくなるくらい、全然違って見えます。
でも、「富士」と呼ぶなら、やはり山の西にある鈎御所から見る形でしょうか。
鈎御所は、今ではあまり何もなくて、鄙びた田舎にあります。
夢の跡のほうが、いろいろ想像しやすくて、いいでしょう?
衰えたとはいえ、国を統治する将軍の政庁が置かれた場所を「首都」と呼ぶなら、この地は日本史において一年余りの間、首都が置かれたことになります。
ずっと南へ行けば『三雲城』があり、物語に登場させている野洲川ももちろん実在します。
八丈岩は見ごたえあり。忍者たちのように登るのは無理ですが、登らなくても良い眺めを楽しめますよ。
ちなみに作品では夕菅の花を登場させていますが、実際にはないと思います。
一生懸命探しに行かれた方、すみません。
(そんな人、いないって)
少し南の甲賀市へ行くと、近くには『甲賀の里忍術村』や『甲賀流忍術屋敷』もあり、甲賀忍者の雰囲気を楽しめます。
さらに南の『油日神社』は、忍者の聖地。物語では進行の都合上、地の文でちらりと登場させただけでしたが。
最後になりましたが、本作のテーマ曲は Acid Black Cherry の『シャングリラ』です。
物語の最終章を「桃源郷へ」としているのは、そのためです。
執筆しながら耳でしか聴かないため、ABCがビジュアル系なのだという常識を、実は途中まで知りませんでした。現代日本には優れたアーティストが各分野にぞろぞろいらっしゃいますが、yasuさんは稀有の吟遊詩人だと思います。
残念なことに、体調不良のためここ数年、活動を休止されていますが、この場をお借りし、一ファンとして、元気に復帰される日を心待ちにいたしております。