第2回/『レヴュースタァライト』は『特攻の拓』!?

文字数 1,389文字

アニメ『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』シリーズ監督・古川知宏氏に、自身を育んだ「本」についてお話をうかがいました。


>>第1回はこちらです

Profile/古川知宏(ふるかわ・ともひろ)


1981年生まれ。アニメーション監督。代表作に『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』シリーズ。

Twitter:@TOPPY1218

『レヴュースタァライト』は『特攻の拓』!?

ーー古川さんはパンフレットなどで「劇場版はヤンキー漫画だ」と語られています。ヤンキー漫画にはいつ触れられたのでしょうか?


『日出処の天子』の後くらいですね、ヤンキー漫画を読むようになりました。これは明確に兄の影響です。有名作ですと吉田聡先生の『湘南爆走族』(少年画報社)。


僕が吉田先生の作品を最初に知ったのは「週刊少年サンデー」で連載していた『噂の男前!』を読んだとき。「これはただのスポーツものじゃない! キャラクターの感情が土俵に描かれている!」と感じて。


それから兄が持ってきた『湘南爆走族』を読み耽ることになります。

その面白さが更に濃縮された『荒くれKNIGHT』(少年画報社)! 感情のぶつかり合いも描かれつつ詩情にも溢れています。不良と詩は僕の中で接近している存在です。

もちろん『疾風伝説 特攻の拓』(原作 佐木飛朗斗・漫画 所十三/講談社)も大好きです。僕は滅茶苦茶に影響を受けてます。

記憶の中で色々なシーンが混ざっているかもしれないのですが、「ザックザクにしてやんよ」と相手の口に電球を入れてバコーンと殴る! その上で相手をバイクで引きずり回して壁に打ちつける……そうか、これが「ザックザク」にするってことなんだ!と感動しました(笑)


言葉が面白いだけじゃなく、言葉のあとにある行動に驚きが用意されている。これがすごい。


『特攻の拓』は、キャラの台詞が、物体的にゴロンと存在しているかのように感じる表現が多くて好きですね。


その感覚は、自分の作品にも多用しています。例えば〈アタシ再生産〉は言葉でありながら、実体のあるオブジェクトとして登場させました。劇場版だと〈wi(l)d-screen baroque.〉も。


ーーなるほど。言葉の実体化は『レヴュースタァライト』シリーズの魅力だと思っていましたが、まさか『特攻の拓』の影響があったとは……。


いつも思うんですよ。『特攻の拓』の連載中にTwitterがあったら、本当にとんでもない社会現象になっていたんじゃないかって。


これは余談なのですが、〈アタシ再生産〉とか〈This is 天堂真矢〉といったフレーズはTwitterで呟けることを重要視していました。天堂真矢の活躍を観たら〈This is 天堂真矢〉って書き込みたくなるよね!って。


ーーわかります。


大人になると、子供のころのように好きなものを何かを真似っこすることが難しくなる。SNSというのは、久々にその欲求が許された「お祭り」みたいな場所だと思います。


『レヴュースタァライト』を売り出すうえで、SNSで燃料となる言葉が必要だなと考えていたところに、脚本の樋口達人さんが〈スタァライトしちゃいます〉ってフレーズを出してきて。「まさしくこれ! この言葉は僕からは出ない!」と感動しました(笑)。

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