永井紗耶子『きらん風月』ミモレ読者のブックレビュー

文字数 1,619文字

直木賞受賞作『木挽町のあだ討ち』に続く、永井紗耶子氏受賞後第一作の『きらん風月』

江戸時代、東海の自由人とカタブツの元老中、二人の会話が胸に迫る!

大人の女性向けウェブマガジン「mi-mollet(ミモレ)」の読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕の方々から届いたブックレビューをお届けします!

★現代の親子関係、ジェンダー問題にも繋がる物語の伏線が絶妙で、ストーリーに引き込まれ考えさせられる。歴史物が苦手な人にもオススメできる一冊。(ビサイドさん)


★定められた運命を全うする民が多い中、自由人として生きた主人公の言葉が心に刺さる! 時代小説ながら、私たちが生きていくうえでのヒントがこの本には散りばめられている。(Horryさん)


★器用貧乏な文人・鬼卵が、60歳過ぎてベストセラー作家に!  カタブツ殿様・松平定信も唸った、軽妙洒脱なトークをご堪能あれ。(言山寧子さん)


★「楽しく生きたらええねん」。松平定信への鬼卵の昔語りは、割り切れないことだらけの世の中を生きるすべての人へのメッセージ。現代社会に通じる生きづらさをやり過ごすコツが江戸時代からやって来た!(じゅてさん)


★きらんと共に時代と文化を旅してみませんか? 己に素直に自由に生きる鬼卵からあなたはいくつのメッセージを受け取る事になるでしょう?(Smileさん)


★悲しみ、葛藤、後悔、迷い。私たちはそれを乗り越えて、鬼卵の深く軽やかな言葉に耳を傾ける。時を経てきた心にこそ登場人物の生き様が、心模様が鮮やかに浮かび上がります。(アンさん)


★元老中に物申す姿はなんとも小気味好く、現代人にとって生き延びる知恵そのもの。江戸の世に蔓延る「忠義」という呪いを解き放つような文化的アプローチに胸がスカッとする!(megさん)


★時代小説なんてと敬遠している人にこそ読んでほしい。松平定信も聞き入った鬼卵の半生を、あなたも体験して下さい。(なかさん)


★文化人の鬼卵が、幕政の束縛に知であらがう姿は実に痛快。堅物な定信の考え方も変えていく、鬼卵の粋な価値観が魅力。現代に活きる時代小説。(M.Tさん)


★栗杖亭鬼卵から吐き出される煙は風に乗ってどこまでも自由に高く上っていく。読後に思わず松平定信と同じ言葉を呟いてしまった。ああ、なんて「面白い」!(chikoさん)


★筆は卵。そこから、美女も鬼も出る。まだ、卵が孵らないと悩む鬼卵。何度も現在の出来事に繋がると感じた。今、読みたい時代小説。(ひろたんさん)


★誰もが、もがく。自分はこのままでいいのかと。主人公も同じ。その葛藤を見ていくうちに、すとんと胸に落ちる。人生って伏線まみれ、だから面白いのだ。鬼卵、やってくれるじゃねえか。(まさむーさん)


★いつの時代も揉め事は起こり、噂ばなしは興味をひく。ゴシップも主人公鬼卵の手にかかると、人が魅力的に語られ面白い。江戸時代の出来事を令和に重ね楽しく読めた1冊。(Chikako.さん)


★突飛な事件など何度も起きず淡々と過ぎるのが日常であるが、飄々とした語り口も人を惹きつけるのだろう。魅力的な人物とともに過ごした感覚だった。(きんぎょさん)

永井紗耶子(ながい・さやこ)



1977年、神奈川県出身。慶應大学文学部卒業。新聞記者を経て、フリーライターとして雑誌などで活躍。2010年、『絡繰り心中』で第11回小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』で‛20年に第3回細谷正充賞および第10回本屋が選ぶ時代小説大賞を、翌‛21年に第40回新田次郎文学賞を受賞する。‛22年、『女人入眼』が第167回直木賞候補に。そして‛23年『木挽町のあだ討ち』で第36回山本周五郎賞と第169回直木賞のダブル受賞を果たした。また同年、『大奥づとめ』で啓文堂書店 時代小説文庫大賞を受賞した。

装画:朝江丸

エンタメで幕府の圧政に逆らい、東西文化の懸け橋となった

自由人の生涯を描く、痛快長編時代小説!

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