累計300万部突破! 大人気「5分後」シリーズの新作裏話/桃戸ハル

文字数 1,540文字



家事や勉強の合間のちょっとした息抜きに、親子のコミュニケーションに、家族みんなで楽しめる累計300万部突破の大人気「5分後」シリーズベスト集。ちょっとブラックな「黒の巻」、恋や感動の「白の巻」、ともに書下ろしの超ショート・ショートを加えた新バージョンにて2巻同時刊行! 著者である桃戸ハル氏が語る裏話とは……?



今年2020年は、ビートルズが解散して、ちょうど50年にあたる年のようだ。ビートルズに詳しいわけではないのだけれど、アルバム「ザ・ビートルズ(通称:ホワイト・アルバム)」が大好きだ。ジャンルや統一感など気にすることなく、多種多様な音楽を詰め込んだそのアルバムは、何度聴いても、全然飽きない。


編集部から、「ベスト・セレクション版」のお話をいただいたとき、ぼんやりと考えたのは、「ホワイト・アルバム」のような、バラエティに富んだ本にしたい、ということだった。


今回の「ベスト・セレクション」が2冊同時発売なのも、1冊が「白の巻」なのも、実は「ホワイト・アルバム」にちなんでだ。たぶん。


それはともかく、もう1枚、ビートルズで好きなアルバムがあって、それが、B面(後半)に流れるような構成をもつ「アビー・ロード」だ。


印象が散漫になりがちな、バラエティボックス的な「ベスト・セレクション」を、なんとか「アビー・ロード」的にできないかと、やはり、ぼんやりと考えた。日が暮れても考え、テレビを観ながら考え、原稿の締め切りがきても考え続け、そろそろ編集担当に怒られるのでは、という危機感を覚えた頃に閃いた。そして、各話の間に[スケッチ]を入れることにした。


 [スケッチ]は、2ページ程度で読める、本編となんらかの共通項をもつ、「箸休め」的な読み物である。クッション的な役割をしつつ、緩やかに全体をつなげていくためのものだ。


その目論見は、「意余って力及ばず」だったが、作業自体は、思いのほか楽しいものだった。


「透明人間ネタとタイムマシンネタを、H・G・ウェルズつながりでペアにしよう」とか、「H・G・ウェルズつながりを、違う内容でリフレインさせ、2ペアを作ろう」とか、「ロボット、ロボットと繰り返して、次はロボットと見せかけての……」とか、もしかすると読者には伝わらない自己満足かもしれないけれど、その自己満足感こそが、本作りの基本の楽しみとさえ思えてきた。


 「アビー・ロード(のB面)」は、グループ解散の雰囲気が漂う中、「録音されたけど、放ったらかしにされた曲」を、ポールがほぼ一人で編集作業をし、ようやく一つの作品にした……という先入観を勝手にもっていた。解散を前に、暗い顔をしたポールが黙々と編集作業をしているイメージである。


しかし、そのイメージは間違いであることに気づいた(そもそも、一人で編集作業をした、というのも間違いかもしれないが……)。ジョンの、いやビートルズの名曲を編集する作業が、ポールにとって楽しくないはずがない。ポールは、間違いなく、楽しみながら編集作業をしたはずである。そうでなければ、時代を超えて、聴く者をこんなにも楽しませることはできない。


いつの間にか、話が「ビートルズ」になってしまいましたが、この本も、「長く読者に読まれる本になってほしい」と心から願っている、という話でございました。  



PROFILE/桃戸ハル(ももと・はる)

東京都出身。あくせくと、執筆や編集にいそしむ毎日。ぢっと手を見る。生命線だけが長くてビックリ。『5秒後に意外な結末』『5分後に恋の結末』などを含む、「5分後に意外な結末」シリーズの編著や、『ざんねんな偉人伝 それでも愛すべき人々』『ざんねんな歴史人物 それでも名を残す人々』の編集など。三度の飯より二度寝が好き。



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