『八月の母』(早見和真)

文字数 1,275文字

いま話題のあの作品を、マンガでひとかじり!

ブックソムリエ猫のスピンと、飼い主シオリが話題の本をあーだこーだとご紹介します。

気になった作品があったら、ぜひ本をお手にとってくださいね。


今回ご紹介するのは、八月の母(早見和真)

狭間シオリ:アラサー会社員

スピン:ブックソムリエ猫

シオリ&スピンのアフタートーク!

うーん、「八月の母」、ドスンときた。
読み終わった後もずっと、登場人物たちのことを考えちゃうよね。
第二部、読んでいて息苦しくなってくる。逃れられない「母と娘」のつながりの話でもあるし、血のつながらない家族のなかに生じた「母性」とは一体何だったのか…考えることがたくさん残った。
第一部が、エリカの人生を切り取る形でテンポよく進んでいくのに対して、第二部は、読んでいるうちに時間の進み方がゆっくりになっていく。「事件」の日の描写の濃密さはすごかったね。
第一部もグサグサきたよ…
最初は味方として現れる男たちがみんな、エリカと触れ合うにつれて自らの正体と向き合うことになって、エリカを傷つけ自滅していく。
彼らの行く末がどうなったかも気になって悶々としちゃう。
著者の早見さんのインタビューを何本か読んだんだけど、愛媛に移住した6年間の集大成がこの作品なんだって。地方都市にはいまだに古い因習のようなものが目に見えない形であって、澱のようにたまっているとか…
ネットが発達してる今でも、電車に乗ればすぐに隣の県にいけても、土地には、人を縛り付ける力があるのかもしれないね。
「八月の母」は、実際にあった事件から着想を得た作品なんだけど、同時に、その土地に渦巻いているドロドロしたものを吸い上げて書いた小説なんだなと感じた。
愛媛、道後温泉とみかんのイメージしかなかった…
イメージが小学生どまりだよ、シオリ…松山は文学の街ってことくらいは覚えておいて。
今回紹介した本は……


八月の母

早見和真

KADOKAWA

1980円(1800円+消費税10%)

描いた人:藤沢チヒロ@uwabamic

登場人物紹介

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