『ちびねこ亭の思い出ごはん』の表紙イラストに隠された秘密

文字数 1,201文字

 おかげさまで、六冊目の『ちびねこ亭の思い出ごはん』を出すことができました。
一冊目の『黒猫と初恋サンドイッチ』の初速が悪かっただけに感無量です。これも、読者さまや展開してくださった書店さまのおかげです。本当にありがとうございます。
 さて、『からす猫とホットチョコレート』というのがサブタイトルでして、やはり千葉県内房を舞台にした小説です。回想シーンが必ず入ってくるのですが、今回も、昭和のころの思い出を書いています。そういう意味では、若い人から見ると、おじいちゃんやおばあちゃんの青春時代の物語に思えるかもしれません。現在進行形の青春も書いていますが。

 私の作品にかぎらずシリーズが続くと、「どの順番で読むんだろう?」という疑問が生まれます。どの巻から読んでも大丈夫なように書いてはいますが、やはり出版順に読みたいものですよね。
 正直なところ、作者も順番があやふやになっていたりします。出版間際にタイトルを変更することもありますので、意外におぼえていないものなんです。
 でも、『ちびねこ亭の思い出ごはん』については心配はいりません。表紙イラストをお願いしている新目惠先生が、なんと布石を打っておいてくださいました。
 SNSでも話題になりましたが、巻が進むごとに、表紙イラストのウミネコの数が増えていくんです。つまり、ウミネコを数えれば、第何巻か分かるんです。巻数を書いていないのにもかかわらず、誰にでも分かるという垢抜けた仕掛けです。
 私も知らなかったので、びっくりしました。素敵なイラストを描いてくださる上に、ミステリ的な仕掛けまで仕込むなんて。何も考えていない作者との格の違いを感じます。
 こうなったら、ウミネコだらけになるのを目標に書いていこうと思います。十巻、二十巻と進んだときには、どんな表紙になるのか今から楽しみです。
 まずはシリーズ六作目の『ちびねこ亭の思い出ごはん からす猫とホットチョコレート』をよろしくお願いいたします。



高橋由太(たかはし・ゆた)
1972年千葉県生まれ。 2010年、第8回 「このミステリーがすごい!」大賞隠し玉として『もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ』(宝島社文庫)でデビュー。「オサキ」シリーズ、「ぽんぽこ」 シリーズ、「猫は仕事人」シリーズなど、多くの時代小説の人気シリーズ作品を執筆している。時代小説以外の作品に「黒猫王子の喫茶店」シリーズ、「作ってあげたい小江戸ごはん」シリーズ、「あやかし和菓子処かのこ庵」シリーズのほか、『あなたの思い出紡ぎます 霧の向こうの裁縫店』『神様の見習い もののけ探偵社はじめました』などがある。

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