第12回/「頭が良い人」なる概念について考えていること

文字数 1,818文字

こちらはインターネットに生息するふしぎないきもの・にゃるらがインターネットと独り暮らしとそれ以外について深夜に執筆している画像付きエッセイです。→@nyalra


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 「本当に頭が良い人は、バカ相手でも複雑なことを理解させることができる人」といった言説が古くからインターネットでは語り継がれてきましたが、近年では一歩進んで「この書き方はバカが説明を理解しないための開き直りでは」という見解もでてきました。ネットの議論なんて、ジャッジする公平な人間が存在しないので、永久に答えはでてきませんけどね。


 自分も、この話に関してたまに考えていて、たしかに何かを伝えることが上できる人は、その物事に対して自信満々な理解があるので、それに対してに「上手い」と言えるのではと思う。例えば、僕は子供の頃から『モンスターファーム2』が大好きなので、このゲームの攻略法を初心者に教えるとしたら、比較的スムーズに理解させることができるでしょう。仕様の大部分を理解している自信があるからですね。かと言って、べつに他のゲームも同じ要領で教えられるわけでないから、これはやはり「頭が良い」のではなく「モンスターファーム2が上手い人」でしかない。


 とはいえ、これは分野がモンスターファーム2に限定しているため、これが「数学を教えられる」「歴史を教えられる」と一般的な教養を教えられる人間の場合、生活や仕事などと直結している要素なので「頭が良い」と言われて納得する。しかし、社会で役に立たなくともゲーム全般がめっちゃ上手いやつもまた「頭が良い」ことに変わりはないはずです。


 それに、本人の理解度はとても高いのに、他人に指南するのは致命的に下手くそな人だって居るでしょう。知能が高すぎるゆえに一般人とのコミュニケーションが逆に不得意な人も少なからず存在する。結局、「教える」こともコミュ力のパラメーターに関係している行為ですからね。そこで、「コイツは他人に物を教えられないから、本当に頭が良い人ではない」と判断するのは軽率です。ステータスの振り方の問題でしかないから。


 では、真に頭が良い人はなにをするべきか。浅学な自分なりに必死に考えた結果、「誰にでも最適な行動を指示できる人」は、かなり「頭が良い人」なる漠然とした概念に近いのではないでしょうか。


 僕らは頭が悪いので、新しいなにかに挑戦する、または忙しさで頭がパニックになっている際、次にするべき行動がわからなくなる。それか、「言い訳」のため夢に挑戦しないで停滞したりもね。ラノベ作家をめざすオタク少年が「今は、まだ小説を書くタイミングではない」と勝手に決めつけて、いつの間にか大人になっているように。気持ちわかるよ……。最悪の場合、まったくもって無意味な努力を積んだりもする。みんなそれが怖くて、なかなか手を広げられない。


 そんな時、「とりあえず今はこれを行えば、少しずつ道が拓けてくるだろう」と瞬時に判断できる人間。これ、かなり頭が良くないですか? 「かなり頭が良くないですか?」って、だいぶ頭が悪い発言ですね。

 真に理解力の高い人間なら、「例え今はまだラノベを描くタイミングでなくとも、まずは練習としてプロットを練ってみよう」とか、「なら先に多くのライトノベルを読んで、自分の目指す方向性だけでも定めよう」「とにかく好きな作家の文体を写経して、自分の文体の血肉にしよう」みたいな動きをするはず。これはラノベ作家という極端な例ですが、慣れない職場や人間関係だったとしても、いくらでも応用が効くでしょう。この「答え」までの思考時間が短い人間は、確実に頭が良いと感じる。僕も憧れる。


 こういった「道筋が見えている」人なら、頭の悪い人に対しても、「まずは、この作業から進めてみてね」とアドバイスもできる。「バカにも物事を理解させることができる人」と似ているようでちょっとちがう。「効率」が極まった人。カッコいいぜ。


 手始めにみなさんも、こんな駄文を読んで時間を無駄にするより、一分でも長く睡眠でもとっていた方が、絶対に明日の活力になることを覚えるといいかもしれませんね。

【フォーミダブルのフィギュア】

ALTERから発売したフォーミダブルのフィギュア。大きい。いろんな意味で。憂い顔も素晴らしいですが、背中から漂う「異形の神聖さ」もお気に入り。大きい。

来週も月曜深夜に更新予定です。それでは、おやすみなさい。

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