(73)朝倉宏景【朝倉義景】

文字数 668文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

朝倉宏景(あさくら・ひろかげ)さん


──1984年東京都生まれ。2012年「白球と爆弾」で第7回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞し、13年改題した『白球アフロ』でデビュー。18年『風が吹いたり、花が散ったり』で第24回島清恋愛文学賞を受賞。近著は『あめつちのうた』。

【わたしの好きな戦国武将】


朝倉義景

朝倉義景といえば、暗愚、無能だと言われがちである。『麒麟がくる』でも、明智光秀が、つかみどころのない義景に再三落胆する様子が描かれている。蹴鞠に興じていたら「何が蹴鞠じゃ」と、光秀に裏でブチ切れられ、見かぎられてしまう。実際、歴史上のいくつかの重大な局面で常に後手にまわり、勢いを得た信長に滅ぼされ、一乗谷を焼き尽くされる。


その越前一乗谷だが、応仁の乱以降、京都の文化人の疎開先として機能し、繁栄を極めたという。義景も、和歌、茶道などに優れ、文化面から京とのパイプを強めることで政治利用した。公家と蹴鞠をするのも大事なお仕事なのだ。おそらく義景は天下など毛ほども興味はなく、なるべく面倒な戦や諍いをさけたかったのではないか。美しく豊かな一乗谷を守れればそれでよかったはずなのだ。天下だ、出世だとギラついているヤツが私は嫌いなので、軍事面では無能とされる文化人・義景をむしろ人間的で好ましく思ってしまう。

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