編集長ジミーがオススメ、3月の光文社文庫!

文字数 994文字

 日本一有名な警察官、十津川警部を生んだトラベルミステリーの巨匠、西村京太郎さんがお亡くなりになりました。私も北は北海道から南は沖縄まで、日本全国を何度も取材旅行でご一緒しました。思い出は数限りなくありますが、20年前、今はなきブルートレイン「はやぶさ・さくら」に乗って長崎へ向かった『新・寝台特急殺人事件』の取材旅行は、今でも鮮明に覚えております。いつもお優しかった先生。心よりご冥福をお祈りいたします。


 光文社文庫3月のラインナップ。まずは遠田潤子さんの『廃墟の白墨』を挙げましょう。父親に届いた一通の手紙に導かれて、廃墟と化したビルを訪れたミモザの前に現れた三人の男たち。彼らが語る父親、そそいて少女・白墨の物語。ゆっくりと明らかになる哀しく壮絶な過去。ずっしりとした読後感が残ります。遠田さんの作品も読めば中毒性のある作風。『アンチェルの蝶』『雪の鉄樹』『オブリヴィオン』など、未読の方はぜひ。


 続いては第23回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作、城戸喜由さんの『暗黒残酷監獄』です。選考会でも大いに議論となった問題作の登場です。十字架に磔にされて殺された姉の死を調べ始める弟。しかし彼、椿太郎を含めて、この一家には大きな秘密があり、出てくる人間たちも一癖も二癖もある人間ばかり。本格ミステリの趣向ながら、異様な物語の展開は一筋縄ではいきません。刺激的な作品を求めている方にオススメします。
 最後にキャラクター文庫から金子ユミさんの『千手學園少年探偵團 また会う日まで』を。舞台は大正時代。名門私立学校、千手學園に入学することになってしまった檜垣永人を中心に、學園の内外に起きる怪事件に立ち向かう仲間たち。この時代ならではの犯罪と、大正ロマン溢れる物語。若者たちの活躍は痛快です。この巻でシリーズは一区切りですが、光文社のコミックサイト・コミソルでコミカライズが進行中。こちらも楽しみです。

 先日BSプレミアムで放送された『京、ぶらり』という番組を見ていたら、なんとキッチンハウス キャラバンが! あ、すみません、学生時代、京都で暮らしていた私が週3回は通っていた食堂の名前です。画面の向こうのマスターもお元気そうで嬉しかったな。番組にも10年通っている医学部生が出ていましたが、私も京都にいたら今でも通っていたでしょう(笑)。あのハンバーグや豚キムチオムレツ、また食べたいです!


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