編集長ジミーがオススメ、3月の光文社文庫!

文字数 1,225文字

 緊急事態宣言が続く東京ですが、本来なら今月来日するはずだったカラヴァッジョの「キリストの埋葬」も展覧会が中止となってしまいました。今年開催される美術展の目玉の一つだっただけに残念です。また海外オーケストラの来日も中止が続いています。その中で、国内の収蔵品を中心とする美術展は開催されていますし、国内のオーケストラも若手指揮者を起用して、いい演奏会をされています。原田慶太楼さんなんか格好いいですよね。この状況下、前向きに文化を繋いでいこうという意志、私も胸に刻んでいきたいと思います。

 3月の光文社文庫、まずは第22回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作、辻寛之さんの『インソムニア』からオススメいたしましょう。選考委員から絶賛された傑作がいよいよ文庫化です。アフリカのある国に派遣された陸上自衛隊PKO部隊の七人が襲われて、一人が死亡、さらに帰国後に一人が自殺。現地で何があったのか? 残された隊員たちの食い違う証言の意味するものは……。タイトルの「インソムニア」とは不眠症の意味ですが、最後の一行にその重さが込められています。



 次にオススメするのは、深木章子さんの『消えた断章』です。本格ミステリ大賞に何度もノミネートされている技巧派の深木さんですが、本書もかつて起きた不可解な誘拐事件を発端に、10年後に見つかった男児の白骨死体が関わってきて、物語は二転三転。最後までまったく油断のできない作品です。作品の雰囲気はまったく違いますが、本書の探偵役である君原樹来が小学生にして安楽椅子探偵の才能を発揮する前作『交換殺人はいかが?』と一緒にどうぞ。



 続いては豊田巧さんの『駅にとまろう! コテージひらふの早春物語』を。昨年刊行いたしました『駅に泊まろう!』に続く作品で、JR北海道の函館本線に実在する、本当に駅舎に泊まれる比羅夫駅をモデルに、コテージのオーナーになった若い女性の奮闘を描いた第二弾です。今回は主人公も親友と一緒に根室の方まで旅行に出ます。現在はなかなか旅行にも行けない状況ですが、本書を読んで北海道を訪れた気分になっていただければと思います。そして、私もいつかタウシュベツ川橋梁は見てみたい!



 さて、以前にもここで触れました「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」、第二弾のラインナップが決まりましたね。ファン投票第一位はやはり『リオの男』でしたか。はるか昔、テレビで観たときから私にとってもNo. 1の大傑作。ベルモンドの吹き替えは山田康雄さんだったなあ。しかし『アマゾンの男』があったとは知りませんでした。今回も全5作、絶対に観に行きたいと思います!

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