KADOKAWA×講談社 2020年の激押し作家・伊兼源太郎①

文字数 2,055文字

6月某所――


「2020年、伊兼源太郎を激推ししたい!」


「彼をブレイクさせなくてどうする!」


たぎる思いを胸に、KADOKAWAと講談社、出版社の垣根を越え、3人の担当編集が立ち上がった!

伊兼源太郎作品への愛と魅力を語り尽くした濃密な鼎談60分、ぜひご賞味ください!

★各社担当編集者紹介

編集K

伊兼さんKADOKAWA担当編集。リモート飲み自粛中。好きな国はケニア。

編集N

伊兼さん講談社単行本担当編集。無類の映画好き。2020年上半期ベストは「ジョジョ・ラビット」 。

編集T

伊兼さん講談社文庫担当編集。ステイホーム期間にクラシックギターを始めた。


編集K 講談社とKADOKAWAから現在、伊兼源太郎さんの新刊を4ヵ月連続で刊行するキャンペーンを行っているところですが、伊兼さんの作品はどれも素晴らしいので、とにかくもっと知って欲しい!


編集N そうなんですよ! 読者のみなさんにもっと伊兼さんに気付いて欲しい!!


編集T 書店員さんでファンの方も着実に増えてきていますし、今注目して欲しい作家No.1です!


編集N ということで、出版社の垣根を越え、編集の立場も越えて、とにかく伊兼作品の魅力について語り合いたいと思います!



最大の魅力、それは人間ドラマ



編集N Kさんが思う、伊兼作品の魅力はどういうところでしょうか?


編集K 伊兼さんの作品に共通するテーマとして「正義」があると思うんです。組織と板挟みになる人間を描かれることが多いのですが、例えば警察や検察など大きな組織としての正義があって、その前には生身の人間の感情がある。その落としどころが見つけられないで、もがきつづける人物の姿がとにかくリアル。これは伊兼さんご自身が新聞記者時代に抱えてらっしゃった葛藤が色濃く出ているのではないかと思います。それに元新聞記者だけあってディティールが細かく表現されていて、それが圧倒的なリアルさにもつながっているんだと思います。


編集T 私は登場人物がとにかく魅力的だと思っています。「ああ、かっこいいってこういうことか」っていつも教えられるんです。伊兼さんの作品って、はっきりと良い人・悪い人ってわかれていなくて、みんな葛藤したり悩んだり、弱い方に流れてしまったりもしつつ、でも、それで終わってしまうのではなく、最後にはこういう風に生きたいって思える姿をすごく上手に書いてらっしゃって。


編集N 親近感がわきますよね。


編集T そうなんです! で、最後の最後に描かれているのは、弱さに負けずに自分の矜持を守る姿なのかな、という気がして、それがすごくカッコいい…!


編集K わかります。どの作品も、読後、自分も頑張ろうって気持ちになりますよね。


編集N 社会派なテーマを扱ったり、ストーリーが進む中でどんどんお話がスケールアップしたり、読者へのサービス精神みたいなところも醍醐味だと思いますが、僕はやっぱり「組織人」を描かれるのがとにかく上手だなぁと感じます。組織が向かう方向と個人としてその仕事と向き合うことの方向でズレがあるときに、個人がどこで動くのか、どこで妥協するのか、何を自分の職業の理念と持って進んで行くのか、といったところに迷う人々をどの作品でも描かれていて。働いている人やサラリーマンの方で、同じような状況に置かれている人ってたくさんいると思うんですけど、そこに響くものを持ってらっしゃるなぁと。


編集K 検察や警察、新聞記者や市役所職員などを主人公としつつ、組織に属する人間であれば誰もが共感できるポイントがありますよね。


編集N 葛藤や、その職業ならではの悩みなども丁寧に描かれていて、ミステリーなんだけれど、人間ドラマとしても骨太に読めるようになっている。ここが伊兼さんの大きな魅力だと思います。そして、登場人物達が悩みや葛藤を越えていく流れが、事件や謎を解決していく流れと重なっていくんですよ。その爽快感がたまらない!


編集K まさにその通り! 謎と職業倫理。


編集N 人間ドラマとミステリーが両輪で進んでいくところが素晴らしい。


編集K 全編ところどころ泣ける箇所があるんですよね。


編集T そうなんですよ! すごく感情移入してしまう。


編集N 葛藤を抱えている人や、仕事にブレーキをかけている人にも理由があって、直面した事件との関わりの中で、彼らが変わっていく。そこに背中をおされるのかなって思います。


編集K そうですね。伊兼作品の最大の魅力は、人間ドラマですね!

伊兼源太郎(いがね・げんたろう)
1978年東京都生まれ。上智大学法学部卒業。新聞社勤務などを経て、2013年に『見えざる網』で第33回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。他の著書に、『事故調』『外道たちの餞別』『巨悪』『金庫番の娘』『事件待ち』、「警視庁監査ファイル」シリーズとして『密告はうたう』『ブラックリスト』、「地検のS」シリーズとして『地検のS』『Sが泣いた日』がある。

登場人物紹介

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