霊能者たち 嶺里俊介

文字数 810文字

 霊って何だと思いますか? 事件があった場所に被害者らしき霊が出る、とか、家族やペットが亡くなった後、家の中にその気配を感じたり、とか。噂に触れたり、実体験したことある人、いますよね。それが霊だとして、では、何故そんなことが起こるのだろう。霊能者って何故そう呼ばれるんだ? そもそも霊能って何だ? etc……という興味関心は、古今東西ありますよね。そこから、怪談とかさまざまな物語も生まれてきました。死者の霊がこの世に残るのは、恨み、怒り、後悔、愛、無念、そんな強い感情があの世に行かせないからだと、思われてます、よね。


 そこに身も蓋もない霊と霊能者の「真実」をぶっこんできたのが、嶺里俊介の『霊能者たち』。

第一話は「鳥は涙を流さない」。若い夫婦の幼い娘姉妹が車にはねられて、姉が死んじゃう。生き残った妹は「あたし、鏡に映らない。きっと吸血鬼になったんだ」といい出します。霊能者はどんな方法でどんな形の解決をするのか? 第一話から泣かせてくれる、哀しくも暖かいお話です。


 でも油断するなかれ。第二話「霊能者の矜恃」で、あなたは霊能者たちの食欲と性欲に打ちのめされるでしょう。あとの四つの話では、こっくりさんに山姥、妊婦と生き仏が霊と絡んで、霊能者たちが色々やります。ミステリあり、ホラーあり、アクションあり、とにかく楽しませるエンターテインメントです! 魂が抜けるほどの驚愕する、霊の「真実」を読め!!

嶺里俊介(みねさと・しゅんすけ)


1964年、東京都生まれ。学習院大学法学部法学科卒業。NTT(現NTT東日本)勤務を経て、執筆活動に入る。2015年に『星宿る虫』で第19回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。翌16年にデビューする。ミステリーとホラーを独自の感性で融合させて、パワフルに新しいエンターテインメントを作り出している。著書に『走馬灯症候群』『地棲魚』『地霊都市 東京第24特別区』。最新刊が『霊能者たち』。

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