物語とは何だろう?

文字数 1,008文字

 物語とは何だろう?
 ずっとその事を考え続けてきました。
 そしてついに、答えが判りました。その答えを書いたのがこの本です。
 この本を分類すればミステリ小説になるでしょう。扱われているのが宝石盗難事件と殺人事件ですから。しかも犯人と目される人物には鉄壁のアリバイがあるのです。宝石盗難事件が起きた当日、容疑者は刑務所に服役中だったのです。これが第一のアリバイです。 第二のアリバイは〝宝石盗難事件の背後にあると思われる転落死〟に関するアリバイです。
 この二つのアリバイに挑むのは本シリーズの探偵役、〝アリバイ崩しの東子〟の異名を取る桜川東子嬢です。
 桜川東子はシリーズ初登場時の『九つの殺人メルヘン』の時には大学生でした。シリーズ第二作『浦島太郎の真相』では大学院生になっています。
 彼女はヤクドシトリオと呼ばれる中年男性三人と共にバーでお酒を飲みながら事件の真相と物語の秘密を解き明かしてきました。
 そう、このシリーズでは殺人事件を解き明かすと共にメルヘン、おとぎ話、神話などにまつわる隠された真相も同時に解き明かしてきたのです。
 そして本作の第三のアリバイ……それは〝物語のアリバイ〟です。
 この作品の中で〝物語〟はある罪に問われます。それを桜川東子が弁護するのです。〝物語〟にはアリバイがあると――。そうです。シリーズを通して一貫して犯人のアリバイを崩してきた桜川東子が初めて無実の罪に問われた〝物語〟のアリバイを立証して、このシリーズは幕を閉じます。
 物語が問われた罪とは何なのか?
 そしてそのアリバイとはどういうものなのか?
 ぜひ本書を読んで確認してください。



鯨統一郎(くじら・とういちろう)
1998年『邪馬台国はどこですか?』でデビュー。傑作・怪作・奇作・話題作を連発する、本格界随一のトリック・スター。著書に『努力しないで作家になる方法』『作家で十年いきのびる方法』『女子大生つぐみと邪馬台国の謎』『徳川埋蔵金はここにある 歴史はバーで作られる2』『金閣寺は燃えているか? 文豪たちの怪しい宴』『カルトからの大脱出』『テレビドラマよ永遠に 女子大生桜川東子の推理』などがある。

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