M‐11回戦敗退したやつが、実は一番お笑いに詳しい説!

文字数 8,923文字

お笑いの世界は光り輝いている者たちばかりではない。

その下では、無数の売れたくても売れない芸人が、涙をこらえ、今日も舞台に立ち続けている――。

すでに今年のM-1の結果が出てしまった芸人、ドロシー・亀井悠佑さん元ブーメラン学園・ザッキーさん閃光のじゃむ・石渡一隆さんら3名による反省会をここにお届け!

読む覚悟はいいか、リアル『火花』はここにある‼


(初出:小説現代2022年12月号)

M‐1 1回戦敗退したやつが、実は一番お笑いに詳しい説

肝心の結果は──!?


──みなさん、今年のM‐1の結果はどうでした?


亀井 悠佑(以下、亀井) 結果はなんと、落ちました。


ザッキー 僕も。1回戦ってすごく厚い壁なんです。


石渡 一隆(以下、石渡) いや、厚くないですよ。本当は厚くないです。


ザッキー そういう自分だって。


石渡 落ちましたけど、何か?


ザッキー 2回戦から3回戦の壁がぶ厚いイメージはあります。


石渡 1回戦は本当は通れますよ。ある程度やってれば。通れないやつはやめたほうがいいで

す。


ザッキー じゃあ、お前やめろよ。


亀井 通るつもりではいました。


ザッキー 今年から1回戦から2回戦でぎゅっと絞られましたね。組数が単純に多くなってるからというのもあるんだろうけど。


石渡 コロナもあったよね。運営側は、コロナだから少しでも人数を減らしたいと思っているんではないでしょうか。1回戦ぐらい通るだろう、っていう人が通ってないですから。


ザッキー そうですね。なんでここ落ちてんの? っていう組がけっこうあったなあ。


亀井 僕は1回落ちた後、再エントリーしたんです。8月末までに落ちてもう1回受けたい人は、再エントリーできるシステムがあるんです。抽選ですけど。


ザッキー 僕も再エントリーはしました。


──お2人、抽選はどうだったんですか?


亀井 受けることができました。


石渡 結果だよ!


亀井 結果は、落ちました。


石渡 わお! だっせ。


ザッキー 僕も全く一緒です。


石渡 2回受けて、2回とも落ちたんですか?


ザッキー 落ちました。


石渡 だっさ!


ザッキー 東京と埼玉で受けたんですけど。大宮の通過者なんか145組中、6組でしたから。ふざけんなと思って。総数145組で、その中の半分ぐらいが再エントリーだったと思います。


亀井 再エントリーの日みたいなのがあるんでしょうね。


ザッキー もしかしたら合格は6組までとかって決まってたかもしれないですね。


石渡 それで、実際ウケたの?


ザッキー いや、なんか……。


石渡 ウケてねえじゃねえか。そこだよ、問題は。


亀井 僕らは1回目は僕がしょっぱな嚙んじゃってダメでした。去年は2回戦までいったんですが。


石渡 てんぐだ、てんぐだな。


亀井 てんぐではなくて、完全な普通の現象でした。かかっちゃって(芸人用語で「力む」の意味)。相方もそれでセリフ1個飛ばしちゃって、「あ、だめだ」と思って。それでもウケはあったから、じゃあ再エントリーしたら大丈夫かな、と思ったら、また嚙んだ。シーンってなって、だめだと思いました。


──お客さんは何人いたんですか?


ザッキー 正直10人いたか、いないか。


石渡 大宮で?


ザッキー 大宮で。


石渡 うわー、きつっ。


亀井 僕はシダックスカルチャーホールだったのですが、やはり10人いたか、いないか。平日の開催だと、大体そんなもんですよ。


石渡 8月に出た人は、ほぼ満席に近かったって言ってましたけどね。やっぱり8月、初日ぐらいって結構人が入ってるイメージあるよね。


──再エントリーした組も数に入るんですか?


ザッキー 多分、加算されると思います。毎回、数千組から頂点を、とかって言ってますけど、5分の1ぐらいは重複しているんじゃないですか?

トリオあるある


亀井 ちなみに再エントリーでも、エントリー費は一組2000円がかかります。トリオだったら3000円ですよね?


ザッキー いや、トリオでも2000円。だから一人の負担は700円、700円、600円みたいな。トリオの場合。


亀井 割るんですか? ちゃんと。


ザッキー じゃんけんで勝った人だけが600円みたいな。


石渡 じゃあ、2000人のユニットなら1円ってこと?


ザッキー 2000人が舞台上に乗るかよ。


石渡 ダウ90000は9万人乗せただろうが。


ザッキー 90000はそういうことじゃないから。


亀井 その話、マジでどうでもいい。本当にどうでもいい話やめて。座談会なのに。


石渡 そういうことでしょ? 座談会って。


亀井 違うから。ボケ合戦じゃないから。でも、優勝すると1000万円を取るじゃないですか。トリオで出たらそのときにエントリー費の取り返しが違いますね。コンビだったら1000円で500万なので。トリオなら700円で333万。


石渡 利益率がな。利益率が違う。


ザッキー 賞金取ったときは、トリオは損ですね。


──喧嘩したことあります? 3等分で。


ザッキー 3等分で喧嘩はほぼないですね。そこはじゃんけんで負けた人が飲む。別に仕事量とか関係なく。


石渡 トリオあるあるとかないの?


ザッキー 普段のネタ合わせのときとかは、意見が割れたら大体2対1になりがちですね。2対1になって普段の行いとか、何か多くやってるとか込みの決着になっちゃうんですけど。別にそれが自然なので、嫌だって感じではないんですけど。


亀井 仲はいいんですか?


ザッキー 仲はめちゃめちゃいいですけど、2対1が自然になっちゃう。


石渡 意見が1対1対1で分かれることはないってことね。


ザッキー 1対1対1はないですね。


──さっきおっしゃった2000円を3で割る方式って、他のトリオだったら別のやり方だとか、聞いたことあります?


ザッキー 聞いたことないですね。大体、じゃん負け。ライブのエントリーとかでも3で割ることってほぼないですね。逆に賞金とかもらったときが、ちょっと揉めるというか。俺だけ少ねえみたいな。


石渡 でもザッキーがネタ書いてたんだよね? ネタ書いてる分、ちょっと多めに……。


ザッキー いや全くないです。そこは全くネタ書いてないやつが勝って、イエーイって持ってく。そこはもうそういうもんだって。


石渡 格好つけてる? 座談会だからって。


ザッキー 座談会座談会うるせえな。まあトリオはそういうもんです。あと、単純にコンビより1人多いので、いろんな所へ呼ばれづらいです。やっぱり、ロケとか営業とか、ピンの人のほうが圧倒的にコスパが良くて呼びやすい。物理的に3人は多いわ、ってなる。地方のお祭りとか、イベントに行くときにコンビとピン芸人だったら2組ネタ出番取れますけど、トリオにしたら同じ交通費で出番が1組分しかないので。そこはやっぱり呼びづらいのかと。


石渡 そのトリオがめちゃめちゃ面白かったらいいですけどね。そうじゃなかったですもんね。


ザッキー お前もだろ。


石渡 俺コンビだから。


ザッキー マジうるせえなこいつ。


亀井 トリオだとスケジュール調整も面倒くさそう。


ザッキー 最初は難しかったです。でも大体、おのおのの空いている時間が見えてきたら割と動きやすくはなりました。でもトリオでよかったと思うことがあって、コンビだとネタ合わせのときにどっちも話さない時間がずっと続くのが結構あるんですけど、3人いたら誰かしら何かしゃべったりするから、気持ち悪い間はなくなったかな。コンビの経験もあるんですけど、あの時間は本当に嫌で嫌で。お互いの意見がどっちも通らなくて、ずっと無言の時間が2時間ぐらい続いて、時間がきて終わろうかみたいな。


──石渡さんも、亀井さんもありますか?


亀井 あります。


石渡 1回、これどうかな? って言って、そのまま3時間無視されたことあります。何か言えよ、と思いましたけど。


亀井 「そういうのもあるけど」みたいなことを言って、なあなあにしてもう1回黙る的な。結局どうなの? みたいなね。


ザッキー ただ、もうトリオあるあるは生まれないんですよ。次の事務所ライブで解散宣言するんで。


──えっ……。


石渡 悲しみも3等分だね。


ザッキー うまいこと言ってんじゃねえ。


──でも、どうしてですか?


ザッキー メンバーの1人が今年ぐらいから、ちょっとお笑いの熱が冷めてきて。いついつまでっていうのを決めて、M‐1がちょうどあるからM‐1の結果次第でどうするか決めようって。で、結果これですよ。


石渡 これ、M‐1がきっかけで解散はあるあるだよね。


亀井 M‐1は、島田紳助さんがそのために作ってくれた大会ですからね。


──残るお2人はコンビでやっていくんですか?


ザッキー それは恐らくないかなと。ツッコミがやめようって言って、僕ともう1人何も考えてないやつが残ることになったんで。そいつとコンビでやろうっていう感じにはちょっとなってないです。今回のM‐1には割と賭けてるところはあったんですけどね。めちゃくちゃウケたし。


石渡 賭けてたのに、落ちたんだ。


ザッキー 煽ってくんじゃねえよ、落ちたやつが!

1回戦で落ちるということ①


ザッキー 僕と石渡さん、昔、同じバイト先で1回戦落ちたことで本気で喧嘩したんですよ。バイト中に急に石渡さんから電話がかかってきて。その前に店長に、石渡さんがこの日M‐1があるから休ませてくれって言ってたので、店長が「M‐1どうだった?」って聞いたら、落ちてて。M‐1落ちましたって言ったら、店長が悪ノリで「うわ、落ちたんだ。お前」ってちょっと笑った感じで電話で言ったんです。そのうしろに僕もいて、石渡さん、僕も一緒に笑ってたというふうに捉えてカチンときて、あとから僕に直電で、「僕らがM‐1落ちたら、おもろいすか?」って急に言ってきて。


石渡 俺、そんな電話しました? 本当に?


ザッキー 第一笑うわけないから。僕、芸人だから分かるから。


石渡 ごめんなさいね、その節は。でもあなたも落ちたんですよね? 今年も。


ザッキー うるせえなあ。めちゃくちゃウケたんだよ、めちゃくちゃ……。(後述)


──じゃあ亀井さんに話を聞かせていただきます。亀井さんは今年のM‐1を振り返って、どんな感じでした?


亀井 さっきも言いましたが、僕は去年2回戦行ったから、当然今年も行くだろうって思ってました。3回戦も行きたいぐらいの気持ちで。それで張り切りすぎて……。ネタも前ライブでウケたネタをやったんですよ。このネタだったら大丈夫だって安心感もあった。同じ日に後輩もいて、そいつらとずっとしゃべって、ふざける余裕もあるんだって、自分の中で思ってたんです。でも、いざ舞台に立ったらすごく広く感じて、広いなって思ったら嚙んじゃった。うわ、嚙んだと思ったら相方もネタ飛ばしたんです。これだめだと思って。舐めちゃだめだと思いましたね。痛いほど分かった。


ザッキー 一瞬で飲まれるからね。


亀井 そうですね。舐めてたつもりじゃないんですけど、多分どこかで舐めてた部分があった。


石渡 でも直前も練習はいっぱいしたわけでしょ?


亀井 めっちゃしました。11時入りだったんですけど、10時から集まって、カラオケ入ってネタ合わせして。


ザッキー 大体、直前はカラオケに入るよね。入って、大きい声がちゃんと出るか。


亀井 準備は怠らなかった。でもだめでしたね。


──これはこれでドラマがありますね。


石渡 小さいドラマですよ、こんなもん。しょうもない。

決戦当日


──M‐1、1回戦の一日はどんな感じですか?


ザッキー 僕の今年の話で言うと、朝起きて、カラオケボックスに9時に入って、2時間声を出してネタ合わせをした後、11時に会場に行って、そこから控え室に行きます。分刻みで集合時間が決められていて「このグループの前半何組は、この時間に大部屋に来てください」みたいな案内に従います。


──この人も芸人だなとかって分かったりするもんですか?


ザッキー 大体この時間でこの風貌でスーツバッグを持ってる人がいたら、多分こいつも芸人だろうなって。


──スーツ持ってたら芸人。面白いですね。矛盾してる感じが。


亀井 スーツバッグ持ってて、服が汚かったらもう芸人。向こうも多分思ってるんでしょうけどね。


石渡 それが2人でいたら確定ですね。


亀井 めちゃくちゃダサいですけど、僕のほうが服きれいとか感じたら、勝てそうって思っちゃう。


石渡 うん、めちゃくちゃダサいわ。


ザッキー M‐1は地方予選形式なので、地方によって独特な雰囲気があります。M‐1決勝常連の某芸人が札幌の番組で、「札幌の1回戦なんて0・5回戦や」みたいなことを言いましたが、これはけっこう芯を食っていて……。予選で1、2、3位のネタはYouTubeに出るじゃないですか。そのコメントを見たら、「どうせ、2回戦で全員死ぬくせして、1位、2位、3位を決めるんじゃねえ」とか、ひどい地方芸人イジりがたくさんありますよ。でも、北海道は、タカアンドトシさんとか錦鯉の長谷川さんを生んでる地でもあるんです!


──錦鯉さんの名前が出たので、みなさんに伺いたいんですけど、錦鯉さんの優勝でみなさんなにを感じました? あれだけのキャリアがあっての優勝は夢があるっていったらありますけど、逆にいうと紳助さんの作った意図からまた変わってきているともいえますよね。


ザッキー 錦鯉さんは売れていなくて貧乏なときも知っているから、単純に嬉しかったですね。チャンピオンになってからは、それこそ忙しくて会えてないですが。


石渡 すごく良かったなと思いますけど、一方でやめない芸人を増やしたなっていう功罪がありますね。年寄りの芸人にもチャンスが増えたけど、勘違いして、それでだらだらやるやつも増えますし。俺もそうですけど。


ザッキー やめどきを失うというかね。


石渡 それはありますよ。そんなベテラン芸人はゴロゴロいると思います。


亀井 あまり言わないほうがいいかもしれないですけど、早くやめてくれとは思いますね。枠を奪うぐらいだったら。


ザッキー 若手に譲れと。


亀井 事務所ライブでもあります。事務所に気に入られてるのか知らんけど。M‐1でも1回戦の空気だけ作って、僕らがやりづらくして落とすみたいな。落ちた言い訳かもしれないですけど、


石渡 初めていいこと言ったね、今日。


ザッキー でも、ベテランの立場から言わせてもらうと、緊張感は平等なんだよ。


──やっぱり、どこでも世代間争いみたいなのはあるんですね。


石渡 まあ、みんな思うところはあるでしょうね。

お笑いのトレンドが生まれる場所


──M‐1が与える影響はほかにありますか? お笑いのトレンドなど。聞いた話ですが、「設定一発ばらし系」のお笑いが、さらば青春の光さんから流行ったと伺いましたが。


ザッキー でも流行をキャッチしても、自分のやりたいスタイルでやってしまいますね。流行りでウケるんだろうなと思っていても、それを好きじゃなかったらやらないですね。


亀井 4年前ぐらいに粗品さんっぽい髪の人が増えましたね。芸風もツッコミをバンとおく感じの。


石渡 それはあるあるだよね。M‐1のチャンピオンと似たやつが次の年には結構出てくるっていう。


──それは素人がまねて記念受験しているんじゃなくて、プロがやってるってことですか?


石渡 養成所生でしょうね。


亀井 多分、意識してないんですよ。自分がパクってるって。自分でおもろいことって考えてやってるつもりなんでしょうね。去年は金属バットさんみたいなコンビがめちゃくちゃ多かったと思います。片方猫背でオラオラでツッコんで、片方は機械的にまっすぐ向いてボケていくみたいな。


ザッキー 関西出身でもないのに大阪弁のコンビとかは多いですね。東京もそうですけど、ライブシーンを見ても、面白いテイでツッコめるのは大阪弁の人が多いですよ。


亀井 あと、マヂカルラブリーさん以降、1個のボケをしつこくやるのって結構トレンドですよね。元は千鳥さんの「おぬし」のネタとかだと思うんですけど。いま、千鳥さんのことが好きで始めてる人が一番多いんじゃないかな。


石渡 でも1個のことをしつこくやるっていうのは、元々ザ・ドリフターズですよね。でも結局、それでやりきれる芸人はあまりいないので淘汰されるのが現実です。


亀井 まねとちょっと違うかもしれないですけど、ランジャタイさんは若手はみんな憧れるんじゃないですか? あれで決勝まで行っちゃって。


石渡 俺は一切思わないけど、ちょっとアバンギャルドっぽくしたいっていう人がいるよね。でも結局、本当に面白い人はトレンドに乗るんじゃなく、勝手にトレンドになってるもんだからさ。


ザッキー えらそうに言ってんじゃねえ。

1回戦で落ちるということ②


──話は戻って、ネタをやった後はどうされますか?


ザッキー ウケてもすべっても、普通に無言で会場を後にしますね。


亀井 僕らは結構左右されます。すべったらめちゃくちゃ落ち込んで、どうしようか? って言って帰ります。ウケたら「良かったな。次のライブもこの感じで行こうか。ウケなかったところはどうしようか?」って話しながら帰ります。


石渡 じゃあM‐1に対して、再エントリーの2回目落ちたときは? ずっといたの? 一晩中。


亀井 そんなことはないですけど。もうだめだな、みたいな気持ちではいました。


石渡 昔のM‐1でインポッシブルっていうコンビが3回戦でどかーんとウケて、それで袖に帰ってきて、バチーンって握手して、結果落ちてましたね。めちゃくちゃウケてたのに。


──なんで落ちるんですか?


石渡 さあ。漫才じゃないから、とか言われるんでしょうね。大阪の人のほうがこだわりがしっかりあるように思います。でも漫才か、漫才じゃないかってものすごく面白い話なんですよ。漫才か、漫才じゃないかってお客さんも逆に楽しんで考える。今やM‐1はウケたら受かるとかいう大会じゃないので。


──ランジャタイさんは確かに大阪からは生まれなさそうな感じはありますよね。掛け合いっていうか。


石渡 なんなの? その漫才か、漫才じゃないかってね。結局、漫才か、漫才じゃないかは、関西の人の心の中にあるのが一番大事なところ。


ザッキー なんすか、それ?


亀井 関西出身ですけど、そんなのないと思います。でも、ちゃんとボケにはツッコみたい。肯定するツッコミとかもありますけど、ちゃんとビシっとツッコみたいな。


石渡 プラス、ボケを出す順序とか。ここボケるなら、このボケおかしいとか。段階を踏んで、このワードを言って、みたいな、そういう雪だるま式の笑いにちゃんとなってるかとか、いろいろなところの兼ね合いが漫才なんだろうな。


ザッキー 多分、そこのところが見られてるんだなっていうのをめっちゃ感じますよね。


──感じます? 舞台に立ってて。


ザッキー すごく感じます。正直、今年めちゃくちゃウケたんです。めちゃくちゃウケた手応えがあったんです。これ、結果見なくても100%受かったわって結果見てなかったら、落ちてる。


──どんな気持ちになったんですか?


ザッキー これで通らないなら無理だろうな、って思っちゃいましたね。


石渡 落ちてみて、どこが悪いと思った?


ザッキー だから、正直悪いところ全くなかったんです。


──ほかでめっちゃ受けてたコンビがいたとか。


ザッキー 時間になったら呼ばれるだけなんで、前後がウケてるかな? とかは、なんとなく聞こえてくるくらいなんです。


亀井 そうそう。本当に相当ウケてないと聞こえない。


ザッキー 結局、自分の問題だと思っています。

強敵は素人子供コンビ!?


石渡 でも素人コンビ、特にアマチュアの子供が出てすべってるのはめちゃめちゃ嬉しく思いますね。


ザッキー 最低だな。


──本当にそう思うんですか?


石渡 思う思う思う。「よしっ!」って。子供って大体ウケるじゃん。でもすべると「よしっ!」って。


亀井 性格悪っ。


石渡 思わないですか? 小学生同士とかですべると。


ザッキー ないわあ。


──でも空気おかしくなったりしてやりにくくなったりしませんか?


石渡 でもね、ウケてもすべってもやりにくくなるんですよ。子供って。


──それ、しょっちゅうあることなんですか?


石渡 しょっちゅうはないですね。


ザッキー ウケるほうが多いもんね。絶対に。


亀井 一日程に1組ぐらいは下手したらいるかも。


石渡 ぐらいですね。


ザッキー M‐1あるあるじゃないですけど、子供だらけの日。ちょっとほんわかするような。


──それは親がやらせてるのか、それとも本人たちがやりたいって言うのでしょうか。


石渡 本人がやりたいって言ってますよ、それは多分。


ザッキー 親子で出たりする人もいますしね。お父さんととか。


──それで受かったりはしないですよね?


石渡 いや、これが結構受かるんですよ。


亀井 僕らの前のコンビが、息子が僕と同じ20代ぐらい、お父さんが60代で。お父さん、サングラスかけててコンビ名がカリフォルニア親子っていう、めちゃくちゃ変なコンビ。「はい、どうもー」って言って、お父さんがゆっくり入っていって。お父さんが見た目変なのにツッコミだったんですよ。息子がボケたら「そうだよね。何々で、何々だね。何々だね、違うでしょ」っていうキモいノリツッコミする。最悪やーと思ったら、それがウケて。これには勝たないと、っていう気持ちにもなって。


石渡 直前は嫌だな。


亀井 これに飲まれちゃだめだって思って、嚙んだ。


ザッキー すぐ嚙むんだから。


亀井 ちなみにそのコンビは2回戦行ってました。まんまとやられたと思って。


石渡 ちなみに本番で本気出してないですけど、俺。9割8分ぐらいしか。


ザッキー 結構出してるじゃん。


亀井 だから厳しいんです、M‐1って。


(2022年10月中旬、都内某所にて)

石渡一隆さん

コンビ「閃光のじゃむ」ツッコミ。

43歳。好きな作家は星新一。

ザッキーさん

元トリオ「ブーメラン学園」ボケ。

36歳。好きな作家は彩瀬まる。

現在はピン芸人のウフフワッハッハとして活動中。

亀井悠佑さん

コンビ「ドロシー」ツッコミ。

26歳。好きな作家は角田光代。

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