刊行まで毎日更新試し読み③ 『トリオ後藤』

文字数 2,333文字

人気お笑いトリオ・四千頭身後藤拓実さんによる初エッセイ『これこそが後藤』が、いよいよ9月8日に発売! その刊行を記念して、本書に収録されているエッセイを1日1本、7日まで毎日特別公開いたします!

毎日がちょっと楽しくなる魔法のエッセイーー色んな後藤を召し上がれ!


写真:森 清

トリオ後藤


こんにちは。四千頭身の後藤です。


四千頭身というのは僕が普段活動してるお笑いトリオの名前です。主に漫才をやっています。トリオ漫才です。


トリオならロバートさんや東京03さんなど、コントの印象が強いと思います。2018年にキングオブコントで優勝したハナコさんもコントです。


正直トリオだとコントの方がやりやすいと思います。M-1グランプリのトロフィーも2人の像だし。


そんな中なぜ主に漫才をやるの? とよく聞かれます。たまたま養成所に入って最初に作ったネタがトリオ漫才だった。


最初はそれだけでした。


しかしやっているうちに変わっていきました。


コンビで漫才面白い人はたくさんいる。コンビでコント面白い人もたくさんいる。トリオでコント面白い人もたくさんいます。


ただトリオで漫才面白い人と聞かれて、もちろんたくさんいるのですが、この人! と即答できる人は少ないと思います。だからそのジャンルですぐに思いつかれる人になりたい欲が強まったのです。


M-1グランプリで僕らが王者になった場合、あのトロフィーでは成立しなくなる。ではどうなるのか、すごく気になるんです。


トリオ漫才ではM-1の決勝の舞台にいけた人すらいないんです。チャンスだと思っています。お笑い界の歴史に強く残るトリオになるにはコントじゃなく漫才なんじゃないかなぁと思ってます。


もちろんコントもやりますがね。


トリオで漫才ってどう書くの? とも良く聞かれるのですが、僕はうまく答えられたことがありません。


ペンで書くよ、と言ってすべりまくったときは気絶するかと思いました。


自転車に乗ってるときに考えるかな、とかSEKAI NO OWARIのFukaseみたいなこと言ったときも変な空気になりました。誰もセカオワかよ! ってツッコんでくれませんでした。それに答えたら終わりのような気がして答えられないのかもしれません。


ネタはこういうときにこう書いてるよって言われてからネタみると、少し冷めませんかね。だから噓ついちゃうのかもしれません。


移動中の新幹線で書いたとか言ったこともあります。


それは本当の話だったからこそ反省しております。それを言ってどう思われたかったんだろなぁと。


結局は、「ネタなんて書いてません、即興でやってます」と答えるいま大人気のネオチャラ漫才師、EXITが正解なのかなって思ってます。さすがネオチャラ漫才師。


最近はネタ以外のお仕事ももらえるようになってきました。


アーティストのライブツアーアンバサダーを任せてもらったり、大盛りのご飯食べたり、バンドマンと一緒に石積みをしたり、本当に楽しい毎日です。


家族の前でオカリナ演奏したりもしました。家族に向けてオカリナ吹くことなんてないと思ってましたから、それはそれは緊張しました。


それがテレビで放送された翌日から、ウィキペディアの四千頭身後藤の特技の欄が「オカリナ」になってました。


テレビの影響力すごいなぁと思いました。


海外に行かせていただいたりもしました。しかもトリオじゃなく僕1人で。


ラスベガスです。


すみません書き直します。


Las Vegasです。


はじめての海外が仕事で、しかもラスベガス、いや、Las Vegasですよ。カジノしかないイメージでしたから、不安だらけでした。出国できたのに入国できなかったらどうしようとか、撃たれたらどうしようとかうまくロケできなかったらどうしようとか、初海外と仕事の2つの不安が僕を襲いました。


ある会社の社長に密着するというロケで、ずっと社長について回りました。ロケはなんとかなりました。しかし初海外の僕は、そのロケ終わりの時間が大変でした。


Las Vegas慣れした2人の海外スタッフに連れられて、噴水を見ました。彼らはカメラが回ってるんじゃないかってくらいボケるんです。


普段ツッコミをしている僕はちゃんと全てのボケにツッコミました。


この職業を始めた時点でもう常にビジネスなんじゃないかと感じました。でも辛いとは思わなかったので、僕はやっぱりこのお仕事が好きなんだなぁと日本でも学べそうなことを学んで帰ってきました。


行ってよかったですLas Vegas。


海外だけじゃなくイベントなどでいろんな地方に行けたりもするんです。


嬉しいことに地方にもたくさんの人が集まってくれるんです。


でも絶対これって今のうちだけだと思うんです、このままだと──。

明日はどんな「後藤」が待っているのか!?

乞うご期待!

後藤拓実(ごとう・たくみ)

97年岩手県生まれ。16年、都築拓紀、石橋遼大とともにお笑いトリオ「四千頭身」を結成。おもにツッコミとネタ作りを担当している。YouTubeに四千頭身公式チャンネル「YonTube」を開設し動画を配信中。FM-FUJIにてレギュラー番組「四千ミルク」を放送中。

人気お笑いトリオ・四千頭身の後藤拓実による初エッセイ!

色んな後藤を召し上がれ!


楽しかった中学時代、しんどかった高校時代、楽しくやりたかった草野球がちっとも楽しくなかった事、新幹線のイスを倒せない事、そして四千頭身の一員である事――。

後藤拓実の24年間の軌跡は、日常を楽しくする「笑い」の魔法に溢れている!


「小説現代」で連載されていた超人気エッセイが、作家・武田綾乃さん、俳優・ムロツヨシさんとの豪華対談も収録して待望の書籍化!

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