(84)辻堂魁【長宗我部盛親】

文字数 633文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

辻堂魁(つじどう・かい)さん


──1948年高知県生まれ。2010年『風の市兵衛』でデビュー。著書に「風の市兵衛」「花川戸町自身番日記」「日暮し同心始末帖」シリーズなど多数。近著に『黙しじま』。

【わたしの好きな戦国武将】


長宗我部盛親

この土佐者の豪族長宗我部盛親は、慶長五(一六〇〇)年の関ヶ原の戦いで敗走し、長宗我部氏二十二代最後の当主となった。


盛親は関ヶ原に兵を五千ほども率いて、西軍方に布陣したにもかかわらず、戦わずに傍観し、西軍の敗退とともに戦場を離脱した。東軍と西軍のどちらに付くか、腹が決まっていなかった。


戦場にきたからには断固戦うぞ、という気概も乏しかった。歳も若く、盛親だけの所為ではない世間の事情もあった。だとしても鈍臭い、と感じるのはわたし自身が同じ鈍臭い土佐者ゆえである。


盛親は十五年後の大坂の陣でも、討ち死にせず、京の六条河原で処刑されている。土佐者と言えば、優柔不断で保守的。周りの目をひどく気にかけて僻みっぽく頑固で、そのくせわりに前向きである。


だから土佐者の僻み根性で、レキジョにも人気がなく、負け組代表みたいなこの悲劇の戦国武将が、いかにも土佐者らしいと残念でならず、つい気になってならないのである。

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