「青い鳥文庫小説賞2020」受賞作決定!
文字数 3,768文字
講談社青い鳥文庫は、今年で創刊40周年を迎えました。
かつての読者だった子どもたちが社会に出る年齢となり、作家や編集者、書店員、図書館司書など、本にたずさわる仕事につく人たちも増えています。
「青い鳥文庫小説賞」では、「青い鳥文庫を読んで育った」という幅広い世代の中から、今の時代にあった新しい物語を生み出す作家を発掘すべく、3年目となる今年、【一般部門】に加えて、【短編部門】、【U-15部門】、さらにはデビュー30周年のはやみねかおるさんが選ぶ【はやみねかおる賞】を創設して募集を開始しました。
その結果、なんとこれまでの応募数の3倍を超える作品が集まりました!
【一般部門】もさることながら、編集部が驚嘆したのは【U-15部門】のレベルの高さ。
そして3次にわたる選考を経て、8作品が受賞作に選ばれました!
以下、青い鳥文庫小説賞事務局(♂1名、♀3名)による、座談会形式で紹介します。
【一般部門】
〔金賞〕
『ロストカゾク』
八百 一
『両想いになりたい。』
もえぎ 桃
【短編部門】
『最強男児ゲンタくんvs花子さんッッ!!』
しもっち
『芽衣ちゃんと季節外れのサンタクロース事件』
ふじばかまこう
〔大賞〕
『神様の救世主』
COCOA
『Let us play the guitar!』
星野 夢
『キミとの好きは強いから』
美坂 樹
『ミッションクリア』
和田 篤泰
はやみねかおる先生のコメントもあるよ!
【座談会メンバー】
【ヒ】……青い鳥文庫ゆいいつの男子編集者。
【I】……マシンガントークのおしゃれ番長。
【L】……3か国語をあやつる、グローバル娘。
【高】……青い鳥文庫を知りつくす影の番長。
一般部門金賞
『ロストカゾク』
時は××××年の未来。【絶滅種図鑑】を愛する主人公・ヒラナリの前に、図鑑でしか見たことのなかった「ヤンキー」のとおるが現れる! その後も、「サラリーマン」や「センギョウシュフ」や「ニート」といった【絶滅種】が次々と出現するんだけど、その描写がいちいち面白い。
いやいや、「サムライ」みたいなもんだと思って読めば、ぜんぜん平気でしょ。作者は「失われた家族」というテーマに、「リストラ」や「いじめ」、「ニート」などの社会問題もさらりと盛りこんでいて、今の時代感をよく表してると思う。展開も楽しくて、キレイな伏線とともに一気に読ませてくれる力量はおみごと! ラストの「そこんとこ夜露死苦ぅ!」の決めゼリフも、マジ最高っす!!
『両想いになりたい。』
短編部門
『最強男児ゲンタくんvs花子さんッッ!!』『芽衣ちゃんと季節外れのサンタクロース事件』
『神様の救世主』
『Let us play the guitar!』
『キミとの好きは強いから』
『ミッションクリア』
『ミッションクリア』を賞に選んだのは、他の作品に比べて、物語のまとまりがあり、描写もできているので情景がわかりやすかったからです。
導入もじょうずで、登場人物の書き分けができています。
マジックについての知識が物語の中で活かされています。
作者の年齢を考えれば、じゅうぶん合格レベルです!
また、事件を解決するに当たって、子どもたちが子どもたちなりに一生懸命考え答えを出し実行している点には、とても好感が持てました。
「子どもだから」とか「子どものくせに」ということに負けず、「子どもたちなりに」頑張る姿勢は、物語全体をさわやかにしています。
これから作者が成長し、今持っている「子どもの気持ち」にプラスして多くの体験や知識を得たときに、どのような物語を書いてくれるのかとても楽しみです!
(はやみねかおる)
受賞された皆さま、おめでとうございます!
本屋さんで、ぜひお手に取ってくださいね!
『天才謎解きバトラーズQ vs.大脱出! 超巨大遊園地』(吉岡みつる/作 はあと/絵)
『今日から死神やってみた! イケメンの言いなりにはなりません!』(日部星花/作 Bcoca/絵)
↑から作品の購入ページに行けるよ!