(31)伊岡瞬【蒲生氏郷】

文字数 694文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

伊岡 瞬(いおか・しゅん)さん


──1960年東京都生まれ。広告会社勤務を経て、2005年「約束」(のち『いつか、虹の向こうへ』に改題)で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞しデビュー。16年『代償』で啓文堂書店文庫大賞を獲得し、同書は50万部を超えるベストセラーとなる。近著に『赤い砂』がある。

【わたしの好きな戦国武将】


蒲生氏郷

贔屓の武将を選ぶ基準はなんだろう。無双の豪傑か、比類なき智謀か、慈愛か、清廉か、遅れてきた英雄か。


思うに、これらをいくつか兼ね備えた上で、なお不可欠なものがある。それはカリスマ性や〝華〟だ。さらに悲運落涙が重なれば完璧だ。関ヶ原で敗れた西軍側に人気者が多いのも、ここに一因があるだろう。


少し斜めな性格のわたしとしては、その生涯がいまひとつ地味だったために、なかなか大河ドラマや大作映画の主人公になれない不遇の名将、蒲生氏郷を推したい。


物語に登場するとしても、せいぜい伊達政宗のライバルぐらいの存在だが、武将としての器量はひけをとらないかもしれない。しかしいかんせん〝華〟がない、〝伊達〟者ではない。


かくいうわたしも、氏郷に興味を抱くようになったのは、歴代文豪も絶賛した、この辞世を知ってからだ。その才を怖れた秀吉による謀殺説の元になった歌でもある。


──限りあれば吹かねど花は散るものを

   こころ短き春の山風

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