第7回/ネタに飢えた狼は眠らない

文字数 1,587文字

こちらはインターネットに生息するふしぎないきもの・にゃるらがインターネットと独り暮らしとそれ以外について深夜に執筆している画像付きエッセイです。→@nyalra


第1回はこちらから

 毎日Twitterにアップしている日記が3年目となりました。このコラム自体は約二ヶ月続いていますね。すごいぜ(自画自賛)。


 こう年数が重なってくると、みなさんは「よくネタが続くなあ」と感じることでしょう。自分でもそう思います。しかし、みんないっぱいいっぱいなんですよ。なにかの連載を続けている中で、ネタが溢れて余裕がある状態の方が少ないのではないか。書き手は絶対にネタへ飢え続けている筈だ。この「渇き」が重要なのかもしれません。


 毎日・毎週迫りくる締め切り。僕なんかは日記を投稿するまで眠ることもできない。が、長文として起承転結があるほど面白い体験なんて日常にあるわけもない。じゃあどうするか。ひたすら苦悩に苦悩ですよ。「こうすればアイディアが出てくるぞ!」なんて方法は存在しない。星新一も言っていた。ただ、もうがむしゃらに考える・なにかを観たり読んだりして逃避するしかない。


 とにかく映画を観れば、その感想を書けば一ネタ消費できる。今まで体験したことのない施設にいけば、それも一つのネタになる。つねに自転車操業でどうにか生きている。眠気に耐えながら胡乱な頭で書いた雑すぎる文章が、意外なことにたくさん反応がきたりもする。とにかく何かを投稿すれば一日延命する。毎日毎日の締め切りを乗り越えるためだけに生きている錯覚すらしてくる。しかし、その「飢え」が人間を強くする……というより、締め切りも無いのになにかを作れる人のほうが異常なので、無理やり自分が生命として活動している証を残すには、こうして「文章のネタ」のために全てを捧げるのみなのですね。


 もちろん、苦しさと引き換えにメリットもある。こうして、お金をもらって文章を書く機会もあるし、読者も増えるので活動の自由度も上がっていく。なんらかの行動を起こさないと書くことがない恐怖から、自然と読者や映画鑑賞を始めたり、新たなイベントに対して積極的になれる。とりあえず、「鍼治療やってみるか!」みたいな。ダメならダメで一日分のネタにはなりますからね。「結果的にちょっとアクティブ」になるのは悪いことではない。


 けれども、デメリットも当然ありまして、逆に言えば何かを体験している最中は、つねに今の感情や状況を言語化したらどうなるかで脳がフル回転するようになります。感情より先に「文字に起こしたらどうなるか」を挟むフェーズが発生。これが良いか悪いかは微妙ですが、目の前の現象に対してつねにワンクッション挟んでしまうのは、時に感動を薄めることにもなります。どうせ何もない深夜の自室なのだから、アニメや映画を観ている時に感動するかどうか程度しか楽しみがない。なのに、その感動へ「あ、これ文章にしたらこうなるな」って職業病が挿入される悲しみ。たぶん漫画家さんとかも映画を観て「自分ならこのアングルや台詞回しにするな」と考えてしまうこともあるでしょう。あれのテキスト版みたいなことが起こる。これがちょっと残念だったりする。


 まあしょうがない。こういう頭になっちゃったのだから、それを受け入れて生きていくしかない。恐らく、これからも目の前で大変な事態が発生したとしても、一瞬「これは日記に書けるか」を判定する間ができてしまうので、恋愛だったらそこでフラれてしまうし、喧嘩だったらそこでKOされるのでしょうね。寂しい人生だ。

【プリキュアのぬいぐるみ】

デリシャスパーティプリキュアに登場するキャラクターのぬいぐるみ。全員同一人物。変身前どころか洗脳された敵幹部時のぬいぐるみまで商品化したのが珍しくてありがたい。

来週も月曜深夜に更新予定です。それでは、おやすみなさい。

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