編集長ジミーがオススメ、12月の光文社文庫! 

文字数 1,169文字

 2年ぶりに開催された水木一郎さんと堀江美都子さんによる「ふたりのアニソン」。コロナ禍に加えて、今回はわれらがアニキが闘病中の緊急事態。アニキの歌は串田アキラさんたち助っ人がほとんどでサポート。さらにはミッチも獅子奮迅の活躍で、最初から最後まで素晴らしいステージでした。でもいいんです、車椅子だろうがアニキがそこにいるだけで。奇しくも今、東京MXテレビでは『マジンガーZ』の再放送中ですが、その歌声は永遠不滅。完全復活を信じてるゼーット!


 さて、光文社文庫12月のラインナップ。まずは伊集院静さんの『志賀越みち』からオススメいたしましょう。こちら単行本が出てから10年以上を経て、京都に住んでいたことのある私自身も待ちに待った文庫化です。昭和38年の京都・祇園を舞台に、東京の大学生と評判の舞妓との恋愛が、美しい四季の風景とともにしっとりと描かれます。時代は昭和ですが、男女の互いを想う気持ちは今も変わらないはず。年配の方はもちろん、若い読者の方にもぜひとも読んでいただきたい、世代を超えた傑作です。


 次に道尾秀介さんの『サーモン・キャッチャーthe  Novel』を挙げましょう。ミステリーを中心に幅広い作品を描き、いや小説を超えた活躍を続ける道尾さんですが、本書もケラリーノ・サンドロヴィッチさんとのコラボから始まった、ユニークな過程を経ての作品です。物語は謎の釣り堀カープ・キャッチャーから始まり、多彩な登場人物が織りなす一口では説明できず、これはとにかく読んでください!としか言いようがありません。ジャンルでは語れないオンリーワンの一冊です。

 最後は原田ひ香さんの『DRY』を。今年、『三千円の使い方』(中公文庫)が文庫No. 1ヒットとなった原田さん。光文社文庫でも『母親ウエスタン』『彼女の家計簿』などがヒット中ですが、待望の文庫新刊の登場です。祖母、母、娘のギリギリの生活、そして親切な隣人の秘密……。想像を超えた方向にどんどん転がっていく展開には目が離せません。その中で貧困や介護といった現代社会の他人事ではない問題が活写されて、タイトルの意味には震撼します。弊社からは単行本でも最新刊『老人ホテル』が発売中ですのでそちらもぜひ!
 はじめに『マジンガーZ』の再放送の話をしましたが、もう一つ東京MXテレビでは『パパと呼ばないで』がまさかの再放送中ですね。今は亡き石立鉄男さん主演、ユニオン映画制作の一連のドラマは私も大好きでしたが(一番好きなのはⅮⅤⅮボックス所有の『気まぐれ天使』)、いまは一日2話(!)を楽しく追っかけています。『マジンガーZ』と同じ50年前、まだ都電も走っていて、ドラマの中でちょうど廃止されて主人公が遅刻するという話があったり、眼にする風景もまた貴重。モノマネでも有名な「おい、チー坊」も必見です。

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