(55)石川智健【長宗我部元親】

文字数 659文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

石川智健(いしかわ・ともたけ)さん


──1985年神奈川県生まれ。2011年『グレイメン』で国際的小説アワード「ゴールデン・エレファント賞」大賞を受賞、翌年同作品が日米韓で刊行となりデビュー。著書に「エウレカの確率」シリーズなどがある。近著に『断罪 悪は夏の底に』。

【わたしの好きな戦国武将】


長宗我部元親

私が戦国武将に憧れを抱いたのは、司馬遼太郎を読み漁ってからだ。武勇優れた武将たちの生き方や死に様に鳥肌を立て、深く感動した。その中でも長宗我部元親を特に好きになったのは、彼が弱かったからだ。


人間臭く、そこが魅力的なのだ。


弱さに共感するというのも妙な話だが、弱さを持つ人間が運命を切り開こうとする姿は、誰もが心打たれるはずだ。土佐七雄の中でもっとも小さな土豪で、初陣も二十三歳と遅く、その初陣で槍の使い方を聞いていた人物が、土佐一国を統一するのだ。


当然、弱いだけではない。勇猛果敢な部分も好きだし、それが幼き頃に姫と揶揄されていた人物の行動だと思うと、不思議と励まされる。


弱くとも、地理的に不利な立場にいようとも、突出した才に恵まれずとも、覇者を目指す。その姿を思い浮かべ、私もかくありたいと願う。


彼の生き様を読み、夢を見てもいいと言われた気がしたのだ。男は、夢のあるうちが花だ。

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