先生、僕って文才ありますかね? 後藤拓実×武田綾乃 【前編】

文字数 1,956文字

人気お笑いトリオ・四千頭身後藤拓実さんによる初エッセイ『これこそが後藤』が、いよいよ9月8日に発売! その刊行を記念して、書籍にも収録されている作家・武田綾乃さんとの対談を、3日連続でチラ見せします!

 

もともと四千頭身の大ファンだという武田さん。

プロの目には、後藤さんの人生初エッセイはどう映ったのか!?


構成:瀧井朝世 写真:森清 場所:講談社

正直読んで、どうでした?

武田 初エッセイ集の刊行、おめでとうございます。


後藤 ありがたいです。


武田 前にインタビューで、私が「四千頭身の後藤さんが面白くて、疲れた時に動画を見ています」と話したことがあったんです。そうしたらこの対談のお話をいただいて驚きました。私でいいのかな、って。


後藤 もちろんです。感謝が止まらないですよ。吉川英治文学新人賞を受賞されて、いま乗りに乗っていると聞きました。デビューしたのは学生時代なんですか。


武田 日本ラブストーリー大賞に応募したのが19歳で、そのままデビューが決まったんです。


後藤 えー。『響~小説家になる方法』(柳本光晴作、ビッグコミックス)じゃないですか。


武田 いやいや、直木賞と芥川賞同時受賞するほどすごくないですよ(笑)。後藤さんも10代の頃から活動されていて。


後藤 いや、僕らなんか全然ですよ。小説家って一人で作っているんですよね。すごいですね。


武田 ものを作るという点では、芸人さんがネタを作るのと一緒な気がしますね。


後藤 受賞作の『愛されなくても別に』を読ませていただいたんです。面白かったです。


武田 本当ですか? ありがとうございます。結構ヘビーな話じゃなかったですか?


後藤 面白いけれどヘビーでした。だから、書いた人もちょっと闇を抱えているのかな、って……。


武田 あはは。普段はもっと明るい本も書いているんです。『響け! ユーフォニアム』っていう吹奏楽部の青春小説とか。


後藤 ああ、少し安心しました。小説は家で書くんですか?


武田 そうです。普段から家から出ずに、ゲームばかりしてますし。


後藤 なんのゲームが好きなんですか?


武田 「スプラトゥーン」っていう。


後藤 え、あんな小説を書く人がイカのゲームしてるんですか? じゃあ、意外とこっち側の人間……?


武田 そうです(笑)。後藤さんはエッセイの連載の依頼がきた時、どう思ったんですか。


後藤 最初は講談社なんて、どんな硬い人たちだろうと思ったんです。湾岸スタジオに編集者の人たちが来て、「書きませんか」って。その時にヒートテックか何かの話をしたら「そういうのでいいっす」って言われて、だいぶ楽になりました。パン買ってきてくれるし、全然いい人たちでした。


武田 パンの差し入れが(笑)。エッセイ、めちゃくちゃ面白かったです。私のイメージでは、小説は漫才、漫画はコント、エッセイはラジオに近くて、それぞれ良さがあるんですよね。このエッセイ集は読んでいると後藤さんの声で再生されるし、ちゃんと間(ま)があるんですよ。その間がすごく良くて。それに、エッセイはもろにご本人の感性やものの見方、パーソナルな部分が出ますが、こんな面白いこと考えているなんてすごいなって思って。


後藤 褒めてもらえて、気持ちいいな。

気になる続きは、明日の【中編】で!
武田綾乃(たけだ・あやの)

1992年京都府生まれ。第8回日本ラブストーリー大賞最終候補作に選ばれた『今日、きみと息をする。』が2013年に出版されデビュー。『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』がテレビアニメ化され話題に。同シリーズは映画化などもされ人気を博している。『愛されなくても別に』で第42回吉川英治文学新人賞を受賞。その他の著書に、「君と漕ぐ」シリーズ、『石黒くんに春は来ない』『その日、朱音は空を飛んだ』『どうぞ愛をお叫びください』などがある。

後藤拓実(ごとう・たくみ)

97年岩手県生まれ。16年、都築拓紀、石橋遼大とともにお笑いトリオ「四千頭身」を結成。おもにツッコミとネタ作りを担当している。YouTubeに四千頭身公式チャンネル「YonTube」を開設し動画を配信中。FM-FUJIにてレギュラー番組「四千ミルク」を放送中。

人気お笑いトリオ・四千頭身の後藤拓実による初エッセイ!

色んな後藤を召し上がれ!


楽しかった中学時代、しんどかった高校時代、楽しくやりたかった草野球がちっとも楽しくなかった事、新幹線のイスを倒せない事、そして四千頭身の一員である事――。

後藤拓実の24年間の軌跡は、日常を楽しくする「笑い」の魔法に溢れている!


「小説現代」で連載されていた超人気エッセイが、作家・武田綾乃さん、俳優・ムロツヨシさんとの豪華対談も収録して待望の書籍化!

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