刊行まで毎日更新試し読み① 『移動中後藤』

文字数 2,146文字

人気お笑いトリオ・四千頭身後藤拓実さんによる初エッセイ『これこそが後藤』が、いよいよ9月8日に発売! その刊行を記念して、本書に収録されているエッセイを1日1本、7日まで毎日特別公開いたします!

毎日がちょっと楽しくなる魔法のエッセイーー色んな後藤を召し上がれ!


写真:森 清

移動中後藤



初めまして移動中の後藤です。大体こういうコラムを書くときは移動中です。


移動中じゃなければそういう書き出しにしますね。そんなことなかなかないと思いますが。


僕後藤拓実はですね、四千頭身というトリオの真ん中を担当しております。


サッカーでいうミッドフィルダーの位置ですね。野球で言うピッチャーの位置ですね。バスケットボールでも言いたいところなんですがバスケットボールのポジションを僕は知りません。知ってる人は真ん中のポジションを想像してください。


漫才中の僕はそこにいます。トリオ漫才というものに挑戦しています。


そんな僕がコラム書かせてもらうことになりました。どうかよろしくお願いします。


さて、移動中ということで僕は今名古屋に向かっています。


新幹線です。僕はですねどれだけ眠くても移動中眠れないタイプなんです。このタイプはなにタイプに効果バツグンなんでしょうか。ごめんなさいポケモンの話です。ピンとこない人は遅れてます。ついてくるように。


今回の移動は品川→名古屋なので約1時間半ですね。


どこまで進むのか実況しながら書きますね。今ちなみにトンネルです。Bluetoothイヤホンから聞こえる音楽がヂ、ヂヂ、ヂ。となっています。Bluetoothイヤホンがピンとこない人は遅れています。ついてくるように。


移動中Bluetoothイヤホンは常に付けています。音楽が流れなくても。なにそれおかしいよって言われるかもしれません。でも音楽を流すこともできないピアスを付けてる人がこの世に何人いるのって話ですよ。それと同じですよ。アクセサリー感覚です。顔面のパーツのなにか足りない感を補っているのです。


それがBluetoothイヤホンでしょ。


あ、ここでトンネル出ました。音楽の調子いいです。外に見えるのは「選ぶなら肌ケアのポイズ」。です。ローカルなことが伝わればと思います。


移動中ってホント眠れない。そこで眠れない理由を僕は考えたんですよ。1つありました。


僕ね、座席倒すことができないんですよ。


倒すほどの腕力はあると思うんですけどそういう理由じゃなくて後ろの人にイス倒していいですか?って聞けないんですよ。人見知りで。


なのでいつも90度のイスに座ってます。よって寝れないとみてます。ちょっと待てよせっかくなんでここでデビューしてみるかな。イス倒していいですかって。めちゃめちゃ怖い人だったらどうしよう。でもせっかくの機会だし。よし。お、優しそうな人だ。


でもめちゃめちゃ寝てる。畜生。起こそうかな。やめとこう。寝てるんだったら倒しちゃえばいいじゃん。そう思ってる人も多いと思います。その人がもし起きて。「すみません。僕が寝る前より椅子が僕に近づいています。直してください。」って言われる可能性があるので僕はできません。90度のまま進みます。


あとあれだ。車内販売を止めることもできません。静かな車内で声を出すことが恥ずかしいんでしょうね。死ぬほど食べたいものがあっても絶対止めれない。ごめんなさい。車内販売に死ぬほど食べたいもの売ってないですよね。ほんとごめんなさい。間違えました。


車内を見回すとやっぱり寝てる人多いですね。いいなぁ移動中寝れる人。羨ましい。どんな夢を見てるんだろうと思います。移動中に夢を見れるってほんと夢みたいですよね。


隣の人も寝てます。僕は窓側でその寝てる知らない青年は通路側。トイレ行きたくなったらおしまいですね。水飲むのやめとかないと。なんでこっちが気遣わないといけないんだ。そう思ってる移動中です。


今どこだろう。


あ、外に浜松って書いてあるビルがありました。てことは浜松あたりですかね。もうすぐ着きますね。着いたらいいますね。はい着きました。はいそうです。サボってました。着いたらいいますね。と書いてから動画を見ていました。


そんな移動中後藤でした。


これからもいろんな後藤をお届けできればと思います。

明日はどんな「後藤」が待っているのか!?

乞うご期待!

後藤拓実(ごとう・たくみ)

97年岩手県生まれ。16年、都築拓紀、石橋遼大とともにお笑いトリオ「四千頭身」を結成。おもにツッコミとネタ作りを担当している。YouTubeに四千頭身公式チャンネル「YonTube」を開設し動画を配信中。FM-FUJIにてレギュラー番組「四千ミルク」を放送中。

人気お笑いトリオ・四千頭身の後藤拓実による初エッセイ!

色んな後藤を召し上がれ!


楽しかった中学時代、しんどかった高校時代、楽しくやりたかった草野球がちっとも楽しくなかった事、新幹線のイスを倒せない事、そして四千頭身の一員である事――。

後藤拓実の24年間の軌跡は、日常を楽しくする「笑い」の魔法に溢れている!


「小説現代」で連載されていた超人気エッセイが、作家・武田綾乃さん、俳優・ムロツヨシさんとの豪華対談も収録して待望の書籍化!

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