◆No.5 『立花三将伝』のテーマ曲は?

文字数 1,480文字

『立花三将伝』 赤神諒   イラスト・山田章博
関ケ原の戦い当時、家康に西軍最強の武将と恐れられた立花宗茂。そのひと世代前の時代、地元・九州筑前に将来を嘱望される3人の若者がいた。美丈夫で剣に長けた勇将・藤木和泉、軍師としての才能に恵まれた薦野弥十郎、そしてその二人を慕い、運命をともにする米多比三左衛門。三人の友情と姫君たちとの恋を描いた戦国の青春群像劇『立花三将伝』をもっと楽しむために、著者・赤神諒氏がウラ話を語る!

 私がいろいろ聞いた中では、

 多くの作家が、音楽を聴きながら小説を書いています。

 私は小説ごとに、テーマ曲を厳格に決めています。

 その曲を聴くと、すぐにその小説の世界観に入れるわけです。

 たとえばワーグナーやチャイコフスキーも文学から発想を得ていますし、絵画も、頻繁に物語を題材としますよね。

 芸術は当然、相互に乗り入れがあるわけです。

 その意味で、絵も文章もできる漫画家は偉大です。



  前置きが長くなりました。

 テーマ曲はずばり、ナオト・インティライミさんの「今のキミを忘れない」です。

 ナオトさんによると、<卒業の定番ソング>にしたかったそうですね。

 が、なぜか、なっていません。

 面白い小説だから、評価されるとは全く限らないように(←ひがむな)、「こんな名曲が、なぜ放っておかれるの?」と、首を270°くらいかしげたくなるような作品もぞろぞろありますよね。世の中そういうものです。



  もっとも、さすがにプロは名曲だと分かっているので、たくさんのアーティストがカバーしています。

 木山裕策さん&クリス・ハートさんのデュエットもいいですよ。

 BENIさんの英語の歌詞もいいし、弦楽曲やオルゴール、ジャズにまでなっています。

 ナオトさんの曲は他の小説でもテーマ曲に使わせてもらっています。

 ちなみに私は曲調だけ聞いているので、たぶん数千回聞いていますが、歌詞は覚えていません。J ポップの歌詞は戦国時代にちょっと合いませんからね。



  好きな小説がそれぞれ違うように、好きな音楽もそれぞれです。

 ですからお読みいただくときは、もちろんご自身のお好みのテーマ曲でどうぞ。 



  私はテーマ曲のタイトルを、必ずその小説の本文や章名に入れ込むようにしています。

 そのままが難しい場合は、少し捻っていますが。

 たとえば、『神遊の城』のテーマ曲は、ABCの「シャングリラ」なので、最終章は「桃源郷へ」という章名にしています。



 『立花三将伝』では、私の好きな場面で弥十郎に言わせていますよ。



 よろしければ探してみてください。



香椎宮:由緒ある大きな神社です。『三将伝』では神主さんが呼びつけられて……。


写真提供:道雪会

赤神 諒(アカガミ リョウ)

1972年京都府生まれ。同志社大学文学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了、上智大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。私立大学教授、法学博士、弁護士。2017年、「義と愛と」(『大友二階崩れ』に改題)で第9回日経小説大賞を受賞し作家デビュー。他の著書に『大友の聖将(ヘラクレス)』『大友落月記『神遊の城』酔象の流儀 朝倉盛衰記『戦神』妙麟』『計策師 甲駿相三国同盟異聞』がある。




第6回「切れ味抜群の変化球 ~薦野増時(上) 」は6月3日(水)UP!

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