心がぐしゃぐしゃにされて打ちひしがれるーー『汝、星のごとく』をご紹介

文字数 1,397文字

『流浪の月』で第17回本屋大賞を受賞、同作は広瀬すずを主演に映画化もされ話題となり、今最も新刊が待たれる作家となった凪良ゆうさん。そんな彼女が約2年ぶりに上梓した待望の最新長編『汝、星のごとく』の快進撃がとまらない。刊行前、文芸誌「小説現代」に掲載された時から反響は大きく、刊行後も1週間を待たずして重版が決定。現在の累計発行部数は10万部を突破している。(*2023年4月時点で40万部を突破)
凪良さんはこれまでも、美しく叙情的な文章と静謐な筆致を用いて、一言で言い表すことが難しい人間関係の機微、ままならない切実な感情を切りとり、多くの読者の心をつかんできた。『汝、星のごとく』で選ばれることになった「関係性」は、ずばり男女の「恋愛」だ。


父親が不倫相手のもとに走り、少しずつ心を壊していく母と暮らす高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され、暁海の通う高校に転校してきた櫂(かい)。風光明媚な瀬戸内の島を舞台に、ともに孤独と欠落を抱えた二人は惹かれ合い、成長していく。しかし、大人になり互いに自分の人生を全うするうち、二人の間にはすれ違いが生じていく――。


主人公の二人は親、そして自分たちの恋愛に振り回されていくが、そこには常に「普通とは何か」「正しさとは何か」という、普段から私たちの人生を縛り付ける問いが内包されている。「恋愛」を越えて描き出されているのは、「自分の人生を生きていくことへの困難と覚悟」だろう。


現役書店員からも、「多くの人に読まれてほしい物語です。特に、暁海のようにたくさんの鎖に縛られすぎて生きていて窒息しそうになっている人たちに読まれてほしいと思います。」「いわゆる常識的な正しいことでも、ましてや正しくないことを肯定しているのでもない。ただ、いろんな幸せのかたちを一切否定しないことで寄り添う優しさがそこかしこにちりばめられている。」「ただ、『愛』という存在が、色々な『普通』や『常識』を包んで浄化してくれる。物語を通して、言葉を超えた、相手を大切に想う『愛』に胸が燃えました。」といった熱い感想が寄せられている。(感想は「小説現代」2022年9月号から抜粋)


また、昨年テレビドラマ化もされた凪良さんの『美しい彼』のコミカライズを担当している北野仁さん(@kitanomegumi1)が、Twitterに『汝、星のごとく』を読んだ感想漫画を寄稿している(下記に掲載)。北野さんは読後、「心をぐしゃぐしゃにされて尊さに打ちひしがれた」という。

凪良さんの「最高傑作」との呼び声高い『汝、星のごとく』。まだ未読の方はこの機会にぜひ、手に取ってみてはいかがだろうか。

『汝、星のごとく』

凪良ゆう

講談社 

定価:1760円(税込)


風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた凪良ゆうが紡ぐ、ひとつではない愛の物語。本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。

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