町田 康④
文字数 873文字
町田康さんが猫との暮らしを描いたエッセイは、2000年4月に「猫の手帖」で連載が始まった。以後、「FRaU」、「Grazia」に連載され、『猫にかまけて』『猫のあしあと』『猫とあほんだら』『猫のよびごえ』と4冊の本となって刊行された。
行き場をなくし、生命の危機に瀕している猫たちを連れ帰り、治療を受けさせて世話をする。それでも別れは訪れる。日々を淡々と丁寧に、写真とともにつづった作品に溢れる猫たちの愛らしさと生命の尊さ。長い人気を誇るベストセラーシリーズを紹介する。
写真/扉:但馬一憲 他すべて:町田康・町田敦子
※2016年IN★POCKET11月号より
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クラン(2004〜2009/享年〔推定〕10歳)
長毛種で、子犬と同じくらい大きい。里親が見つかるまでの一時預かりということだったが、人を恐れて撫でることもできないため、町田家の猫として暮らした。
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オルセン(2004〜/推定13歳)
保護団体の人から預かり、里親が見つからないまま六本木から熱海へ一緒に越してきた猫。白地に雉トラ。人を怖がるため奈奈たちとは別室で暮らしている。
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パフィー(2004〜/推定13歳)
白と茶がパフェみたいに混ざった色。目がまん丸でかわいらしい。人を極端に怖がり隠れてしまうため町田さんは2年間、その姿を見なかったこともある
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私はへっぴり腰でトラのケージの前にかがみ込み、(中略)そろそろっと桶を差し入れた、その瞬間、そんな見え透いた佞言が気に障ったのであろうか、トラは激怒、「シャア」と怒りながら、前足を床に激しく打ち付け、タン、という音を出す、通称、シャータン、という猫における最大級の怒りを表現してみせたのであった。
(『猫とあほんだら』より)