「本能寺の変」完全ガイド③

文字数 1,672文字

日本の歴史に残る有名な合戦を活写&深堀りして大好評の矢野隆さんの「戦百景」シリーズ

第5弾は、日本史上最大の謀反「本能寺の変」を描いた『戦百景 本能寺の変』です!


「戦百景」シリーズとは…

第1弾『戦百景 長篠の戦い』は「細谷正充賞」を受賞!

第2弾『戦百景 桶狭間の戦い』

第3弾『関ヶ原の戦い』

第4弾『川中島の戦い』

と、有名な合戦を深堀りしてリアルタイムで描く、矢野隆さんの人気シリーズ!


今回はそもそも本能寺の変とは…?と、「本能寺の変」について深堀り解説!

これから読む方にも、読んだ方にもおすすめです。

写真/アフロ

原因とされる「説」は50を超える!


 明智光秀が主君・織田信長を討った理由となるような証拠はいまだに何も出てきていないため、本能寺の変は「日本史最大のミステリー」とされている。そして答えがわからない分だけたくさんの説が唱えられ、昨今ではその数は50を超える。


 なかでもよく知られているのは野望説・怨恨説・黒幕説の三つではないだろうか。野望説は、もともと光秀は天下を狙っていて、変のときにその好機が巡ってきたとするもの。太田牛一やルイス・フロイスもこの説を支持する向きがある。


 もっとも有名なのは二番目の怨恨説で、江戸時代から明治初期にかけてはいちばん有力だったらしい。甲州征伐のあとの折檻事件や、徳川家康饗応役の解任、光秀の老母磔事件、近江・丹波の旧領召し上げなど、いかにもそれらしい逸話が古典資料を通じて広く出回り、説を裏付けるものとされて来た。しかし近年の研究ではどの逸話も二次・三次資料から出た根拠のないものとみなされ、怨恨説を支持する力を失っている。


 最後の黒幕説。これは歴史的にはグッとニューカマーで昭和後半から令和に掛けて脚光を浴びた。文字通り光秀を操る人物がいたとする説で、その筆頭には天皇の名が挙がる。その次に足利将軍。そして秀吉や家康なども。


 主な説を挙げてみたが、現代でも定説はない。本書『戦百景 本能寺の変』がどの説に拠っているのか、検証しながら読むのも一興かもしれない。


「戦百景」シリーズが深掘りするのは、天下の趨勢を一夜で変えた「本能寺の変」。

織田信長を斃した明智光秀を突き動かしたものとは!

織田信長と明智光秀。日本史上最大の謎とされる「本能寺の変」の主役二人が出会ったのは案外遅く、永禄11年(1568年)のことだった。信長は美濃の斉藤氏を滅ぼして、尾張を併せた二ヵ国の太守。片や光秀は、次期将軍就任を目ざす足利義秋(のちの義昭)に仕える細川藤孝の家人だった。越前の朝倉家の食客の身に甘んじていた義秋主従は朝倉家当主・義景に愛想を尽かし、やがて信長を頼る。信長と義秋のパイプ役を務めていた光秀は、その後信長の直臣に。それから光秀は出世を重ね、織田家重臣の筆頭格にまで昇りつめる。家臣の中で最初に持ち城・坂本城を与えられ、家中の出世頭となった光秀に転機が訪れる。それは、東の強国・武田氏を滅ぼした年のことだった。天下布武を目前にした信長にどんな変化があったと言うのか。手に入れた織田家中における栄誉を、なぜ光秀は手放す気になったのか。日本史最大の謎を、シリーズ最深の深掘りをして変の真相に迫る、超人気シリーズの書下ろし歴史長編。

矢野隆(やの・たかし)

1976年福岡県生まれ。2008年『蛇衆』で第21回小説すばる新人賞を受賞。その後、『無頼無頼!』『兇』『勝負!』など、ニューウェーブ時代小説と呼ばれる作品を手がける。また、『戦国BASARA3 伊達政宗の章』『NARUTO-ナルト‐シカマル新伝』といった、ゲームやコミックのノベライズ作品も執筆して注目される。また2021年から始まった「戦百景」シリーズ(本書を含む)は、第4回細谷正充賞を受賞するなど高い評価を得ている。他の著書に『清正を破った男』『生きる故』『我が名は秀秋』『戦始末』『鬼神』『山よ奔れ』『大ぼら吹きの城』『朝嵐』『至誠の残滓』『源匣記 獲生伝』『とんちき 耕書堂青春譜』『さみだれ』『戦神の裔』『琉球建国記』などがある。

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