「カロリーヌ・シリーズ」/ピエール・プロブスト
文字数 2,027文字
同業のパートナー、喜国雅彦さんとの共著『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド』で第17回本格ミステリ大賞受賞をしている国樹さんが、「犬の出てくる面白い本」をネタバレなしで、素敵なイラストつきで紹介してくださいます。
第12回目の今回は、ピエール・プロブストの「カロリーヌ・シリーズ」です!
急に寒くなりましたね。そんなときは飛び抜けた楽しさで、心も体もポカポカになるお話はいかがでしょう。ピエール・プロブスト作「カロリーヌ・シリーズ」です(1冊だけ選ぶのは難しいため、シリーズ紹介としました)。
この本はタイトルからもわかるとおり、児童文学です。イラストが主で、短めの文章が添えてあるスタイルですから、むしろ絵本ですね。
国樹が初めて読んだのは子ども時代で、小学館から出版されたもの。あまりの素晴らしさに繰り返し読み続け、結婚した際お嫁入り道具として持参したほど。現在入手可能のものとは絵柄や画面構成が違っているため、表紙が煤けてしまった現在も、大切にしている宝物です。
主人公のカロリーヌはフランス人の可愛い女の子。彼女は沢山の動物たちと、楽しい毎日を過ごしています。犬や猫はもちろんのこと、ライオンやヒョウや熊まで。全員がまだ幼い動物たちです。
だけど彼らは完全に人間と同じように暮らしているのです。もちろん人間語をしゃべりながら。字だって書けます。
みんな好奇心旺盛で、びっくりするほど様々なことにチャレンジします。サマーキャンプに行ったり、スキーをしたり、海で泳いだりは普通レベル。世界旅行に出かけたり、果てはロケットで月に向かったりもします。
荒唐無稽な設定を、デフォルメに走らずリアルな動物絵で描ききっているのに、不自然さゼロの2足歩行ぶり。それぞれが帽子や蝶ネクタイなどを身に着けて、小粋に決めています。その可愛らしさときたら。
愉快なのが、宇宙に行くときはちゃんと宇宙服を着るし、世界旅行のときは各国の民族衣装を着たりするんです。普段帽子しかかぶっていなくても。
モブシーンに出てくるキャラクターはみんな普通の人間や動物たちです。カロリーヌのおともだちだけが「しゃべり、立って歩く」という不思議さですが、全く違和感なく読めるのは卓越した画力のなせるわざでしょう。
シリーズ全てが夢に溢れ、おすすめなのですが、私が特に好きなのは『カロリーヌといなかのべっそう』です。旧版では「あたらしいおうちのカロリーヌ」というタイトルでした。
中古の家を手に入れたカロリーヌとおともだちが、自力で家をリフォームするというお話で、国樹が人生で初めて見たリフォームがこれでした。
大騒ぎして壁紙を貼るシーンや、天井にペンキを塗るシーンに「自分でこんなことが出来るんだ」とワクワクしたのを昨日のことのように覚えています。私のDIY好きのルーツは絶対にカロリーヌかと。
何より私の動物好きのルーツがここにあるのは間違いありません。憧れたカロリーヌのような暮らしは、犬たち2匹と暮らすことでちょっぴり叶いました。沢山はとても無理でしたし、うちの子たちはしゃべってくれませんが。
それぞれの事情で動物と暮らすのを我慢されている皆さま、是非この本でその楽しさを味わってくださいませ。子どもから大人まで夢中になれる読書体験をお約束します。
漫画描き。近年はエッセイも手がけている。ミステリとメタルと空手と犬が大好き。代表作に『こたくんとおひるね』『しばちゃん。』『犬と一緒に乗る舟』など。講談社文庫では、共著の『メフィストの漫画』などがある。2021年、極真空手参段に昇段。メタルDJもこなす。2017年に『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド』(喜国 雅彦と共著)で第17回本格ミステリ大賞受賞。
公式ツイッター→https://twitter.com/kunikikuni
公式インスタグラム→https://www.instagram.com/kunikikuni/
『MはミステリとメタルのM展』
東京都武蔵野市吉祥寺東町1丁目1-19 TEL+FAX 0422-22-6615
2022年10月13日(木)~19日(水) 12:00~19:00
※14日(金)と16日(日)はイベント開催のため18時まで
※最終日は17時まで
※入場無料
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