『97歳の悩み相談』文庫特別あとがき/瀬尾まなほ
文字数 1,029文字
その文庫化を記念して、瀬戸内寂聴さんにずっと寄り添ってきた秘書の瀬戸まなほさんから、特別にあとがきを寄せていただきました。
──瀬戸内寂聴(『97歳の悩み相談』「おわりに」より抜粋)
2019年1月27日に京都嵯峨野、瀬戸内寂聴先生の寺院、寂庵で行われた「十代のための特別法話」は全国より自ら応募してくださった十代の方々が参加してくれた。
当時寂聴先生97歳、15歳~19歳の方々との質疑応答をまとめたのが本書である。私もその場に先生の秘書として参加させてもらった。ご両親も同席され、いつもの寂庵の法話より参加者の平均年齢がぐっと若くなり雰囲気もまた格別に違った。
(中略)
特別法話では十代の方々がそれぞれの悩みを先生に質問している。「いつも思うばかりで、自分から行動を起こせません」「人に悪く思われないか、いつも気にしてばかりいます」「大人が望む『普通の人生』を生きるのは嫌です」などといった質問が飛び交う。それに先生は一つ一つ丁寧に答えている。先生の答えは的確で、決まりきったありふれた言葉じゃなく、わかりやすいのですっと入ってくる。
「人に悪く思われないか、いつも気にしてばかりいます」という質問には、批判され、文学界を干された自らの経験を踏まえて話している。悪口を言った評論家たちに向かって「みんな死んでしまえ」と思っていたら、みんな先に死んでしまった、と笑いながら話すシーンは、先生らしくて好きである。
(中略)
先生は普通のおばあさんが言うようなことを言わなくて、この特別法話でも「自分の容貌が好きではないなら整形したっていい」と言ったりする。そこは「ご両親からいただいた顔にメスをいれるなんて」なんて言わない。だからどの質疑応答の答えにも、「なんか違う」と思うことがなくて、「そんなふうに言ってくれるんだ!」と味方になってもらえた気がして、嬉しくなったりもする。
※『97歳の悩み相談』の「文庫特別あとがき」より抜粋