猫の日に読む 猫本コレクション②
文字数 1,595文字
作家さんには、猫好きの方がたくさんいらっしゃいます。
そこで猫好きの作家さん方の、心をくすぐる「猫本」をご紹介!
読めば読むほど、猫の魅力にハマります!
いつも側にいた。共に笑い、泣いた。愛する猫たちとの暮らし、そして別れ
愛猫家の必読書! たくさんの写真と文章で綴った、町田さんと猫たちとのいとおしい日々。気位が高く威厳に満ちたココア、犬の血が混じっているのではないかと思うほど人懐っこいゲンゾー、遊び好きで無邪気なヘッケ、並外れて気の強い奈奈――縁あって共に暮らした、ちょっと面白い奴ら。それぞれの性格の違いと面白さに、猫好きならずとも夢中になることうけあいです。続編である『猫のあしあと』『猫とあほんだら』『猫のよびごえ』も併せてぜひ。
日本児童文学を代表する名作! 野間児童文芸賞受賞作
モモちゃんの成長を、やさしく見守るお母さん、お父さん、そして黒猫・プーや近所の仲間たち。あたたかくファンタジックなエピソードで、生と死、結婚と離婚などリアルな人生をやさしくくるんで届ける児童文学の傑作。大人が読んでも楽しく、リズミカルな文章は読み聞かせにぴったり。初版刊行は1964年なので実に60年近くまえの作品ですが、時代を感じさせる一部の表記もほほえましく、今も変わらずに読む人の心に響きます。著者の松谷みよ子さんは、『たつのこたろう』で国際アンデルセン賞優良賞を受賞しています。
★『にゃんにゃんにゃんそろじー』 有川ひろ/ねこまき/蛭田亜紗子/北道正幸/小松エメル/深谷かほる/真梨幸子/ちっぴ/町田康
猫を愛する9人の作家たちによる、5つの小説と4つの漫画のアンソロジー本
沖縄の竹富島を舞台にした、「アンマーとぼくら」のスピンオフ(「猫の島」/有川ひろ)、しっぽがカギのように曲がったサビ猫の仔猫を引き取った女性が、仔猫を育てる過程で自分の失ったものを見つめ再生していく、静かで心に迫る物語(「ファントム・ペインのしっぽ」/蛭田亜紗子)や、猫に対して腹にイチモツある動物や虫たちの会議とその顛末を通して「こんなにつれないのに、全ての所業を許してしまうほどかわいい」という猫の本質(!)に迫った話(「諧話会議」/町田康)など、猫好きにはたまらない1冊。
生と死の狭間で語られた、吉本隆明、最後のことば
「戦後思想界の巨人」と言われた吉本隆明さんの最後の語りを収めた、静かな、でもきらきらと輝く宝物のような本。いいとこなんて特にない、平凡きわまるぼんやり猫「フランシス子」は、吉本さんとの相性がよく、相思相愛でした。
「猫っていうのは本当に不思議なもんです。猫にしかない、独特の魅力があるんですね。それが何かっていったら、自分が猫に近づいて飼っていると、猫も自分の「うつし」を返すようになってくる。あの合わせ鏡のような同体感をいったいどう言ったらいいんでしょう」
難しいことばではなく、やさしいシンプルな語り口で愛の、人間の本質に迫ります。ひとつひとつのことばを何度も読み返し、心の中に大切にとっておきたくなります。
★『ポテト・スープが大好きな猫』
作・テリー・ファリッシュ 絵・バリー・ルート 訳・村上春樹
村上春樹さんが米国の書店で一目ぼれした絵本を翻訳
テキサスの田舎で、静かに暮らすおじいさんと茶色の雌猫。茶猫は、ねずみも捕らなければ、おじいさんの釣りの手伝いもしません。好きなのは、おじいさんが作るポテト・スープ。ある日おじいさんが釣りに行くとき、茶猫が寝ていたのでそのまま置いて外出します。すると――。おじいさんと茶猫がまるで長年連れ添った老夫婦のように思える、程よい距離感ながらお互いを必要としているのが伝わってくるあたたかい物語。バリー・ルートの挿画は見ていて飽きません。