第1回 中国編

文字数 945文字

徒に食い、そして死んでいく無数のデブたち。

だが、歴史に偉大な足跡を残したデブもいた……!


おいしい唐揚げ、召し上がってますでしょうか。私、OKB106kgと申します。自業自得とはいえ、私も恋を覚える頃から悲しく肥満していましたから、いろいろと詰まらぬ思いを致しました。


そんな時、歴史にその名を刻んだ太っちょたちの事績を知ることは、私を大いに慰めました。頑張れ、デブ。負けるな、デブ。太っていても歴史は動かせるんだ!


ここでは、そんな肥満界の巨星の生涯と、それを描いた作品を紹介したいと思います。

董卓(?~192)

言わずと知れた暴君デブ。


都の洛陽に入るや、武力を背景に皇帝をすげ替えたり、市民を虐殺したりと暴虐の限りを尽くす。これには日ごろ冷静な歴史家・陳寿さんもオカンムリの様子。


しかし、最期は配下の驍将・呂布に殺される。暑熱のころゆえ、その極度に肥満した遺体からは脂が流れ出した。それを見た無名兵士が戯れに遺体の臍に灯心を挿し、火をつけると、三日三晩燃え続けたという。


漢末のイタズラはハードコアですね。

『三国志』吉川英治/著(講談社)

『正史 三国志』陳寿/著(筑摩書房)

『三国志』北方謙三/著(角川春樹事務所)

安禄山(703~757) 

言わずと知れた叛逆デブ。


楊貴妃とのロマンスで有名な、唐は玄宗皇帝の時代。「安史の乱」を起こし、唐帝国を大混乱に陥れた。

西方異民族出身で「お腹の肉が膝まで垂れる」ほど肥満していたが、踊りが得意だったという。


この「デブの異民族の踊り」が楊貴妃のツボだったらしく、クツクツと大笑い。当の玄宗さんも「貴妃が笑ってくれるなら、僕は暗君にでもなる!」とばかりに安禄山を大出世させた。


結果、後宮に出入りしてオムツをつけての赤ちゃんプレイという蛮行に及ぶ。政争の末に叛乱を起こすが、晩年は視力を失い(糖尿病による合併症と推測される)、息子に使嗾された宦官によって殺される。


裏切りデブの最期は、かくも哀れ。

『肥満 梟雄安禄山の生涯』東郷隆/著(エイチアンドアイ)

『裏切り者の中国史』井波律子/著(講談社)

『大唐帝国 中国の中世』宮崎市定/著(中央公論新社)

次回の「歴史上のデブ」は「日本編」。

3月13日(金)ごろを予定しています。

イラスト/ジェントルメン中村

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