#日ミス新人賞『馬疫』ができるまで
文字数 2,205文字
2021年2月25日発売、
第24回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作『馬疫』に関するアレコレをお届けします!
第24回日本ミステリー文学大賞新人賞(略して「日ミス新人賞」)受賞作、
茜灯里さんの『馬疫』(ばえき)が、2021年2月25日に発売されました!
「日本ミステリー文学大賞新人賞」とは
光文文化財団が主催する、新人作家発掘を目的とした顕彰事業。1997年の第1回より年に一度実施している。
日本ミステリー文学大賞、鶴屋南北戯曲賞と合わせて「光文三賞」と称されることも
茜灯里さんの受賞が決定したのは去年の2020年10月。
刊行までの4カ月間に一体何をしていたんだ…?と思う方も少なくないはず。
そこで今回は、発売日までの制作の裏側をご紹介します。
制作準備は新人賞の「応募締切」から始まっていました。
2020年5月、
応募締切
日ミス新人賞の応募締切は毎年5月。第24回は138編の応募をいただきました。
例年、やはり締切近くに応募が増えるようです。
〈募集要項より抜粋〉
種目:広義のミステリーで、日本語で書かれた自作未発表の小説
枚数:400字詰原稿用紙換算で350枚から600枚まで
賞 :正賞/シエラザード像、副賞/500万円
★宣伝/第25回原稿募集中!
2020年9月上旬、
二次選考会
一次選考を通過した21編から、二次選考会で4編の最終候補作が選ばれました。
初めてのリモート開催となりましたが、会は白熱。
例年にも引けを取らない長時間の選考会でした。
2020年10月22日、
選考会
有栖川有栖さん、恩田陸さん、篠田節子さん、朱川湊人さん、4名の選考委員による選考会で、『馬疫』が受賞作に選ばれました。
(受賞時タイトルは「オリンピックに駿馬は狂騒う」)
選考会の様子は、小説宝石2020年12月号に掲載されています。
★選考委員による選評、予選委員からの候補作選考コメントはこちらから読めます
2020年10月下旬、
改稿作業開始
いよいよ、ここからが制作本番です。
選考会終了後、編集部から著者の茜灯里さんに連絡をして受賞をご報告。
刊行に向け、リモートアプリも利用しながら改稿の打ち合わせを進めました。
どんなタイトルにするか、何を書き加えるのがよいか…など相談を重ねます。
乗馬や獣医師に関する茜さんの豊富な知識に、編集部は驚きの連続でした!
2020年12月上旬、
初校ゲラ到着
11月末に茜灯里さんの最終原稿を受け取り、校正作業が始まりました。
これと前後して刊行タイトルが、茜灯里さん発案の『馬疫』に決定!
受賞記念対談
選考委員の朱川湊人さんと茜灯里さんの対談を行いました。
『馬疫』の感想や、執筆の心構えなど話題は多岐にわたり……。
対談の様子は、2021年3月26日発売の『ジャーロ』に掲載予定です!
2020年12月下旬、
カバー選定
装丁家さんとのカバー制作も同時に進んでいました。
カバー写真の馬を見て、「耳がこちらを向いているのは、馬が注目しているサイン」と茜灯里さんが教えてくれました。勉強になります!
2021年1月下旬、
校了
何度も著者校正、校閲確認をしてもらい、校了紙が完成!
2021年2月上旬、
見本到着&色紙制作
完成見本が編集部に到着。
茜灯里さんに来社してもらい、書店に届ける直筆色紙を書いていただきました。
2021年2月中旬、
宣伝グッズが完成
販売部制作のあらすじ1分動画や、宣伝部によるインパクト大の宣伝ポップが完成。
2021年2月25日、
全国発売!
書ききれなかった数々の制作秘話を乗り越えて、発売日を迎えました!
……ハアハア。速足で振り返ってみましたが、いかがだったでしょうか。
受賞決定から今日まで、色々な出来事があったのでした。
新刊『馬疫』、どうぞお手に取ってみてください!
『馬疫』 茜 灯里(光文社) ★2021年2月25日全国発売!
【あらすじ】
2024年、欧州での新型コロナ感染拡大を受け、夏季五輪は再び東京で開催されることになった。だが、日本馬術連盟の登録獣医師・一ノ瀬駿美(いちのせとしみ)が参加した五輪提供馬の審査会で、突然、複数の候補馬が馬インフルエンザの症状を示し始める。ウイルスの正体は過去に例を見ない「新型馬インフルエンザ」。感染した馬を凶暴にさせてしまう「狂騒型」だった。
五輪は無事に開催できるのか、そして新型馬インフルエンザの先に現れる、もう一つの恐ろしいウイルスとは――。
【著者紹介】
茜 灯里(あかね・あかり)
1971年、東京都生まれ。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専攻卒業。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)、獣医師。現在、大学教員。
『馬疫』が第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、デビュー。