浅田次郎『兵諫』の地に立つ

文字数 1,235文字

1996年の『蒼穹の昴』刊行から25年。

「蒼穹の昴」シリーズ最新作『兵諫』がついに刊行となりました。

その『兵諫』の舞台を、浅田次郎氏とともに写真で紹介します!


1936年12月12日、中国の古都、西安で国民政府最高指導者の蒋介石が捕らわれ、その命は危険にさらされた。独自の史観から氏が描く「西安事件」の舞台。

▲ 張学良軍の急襲から逃れた蒋介石は、西安郊外の驪山中腹の岩陰に隠れているところを発見され捕らえられた。その地に建てられた「兵諫亭」。

 中国清朝末期、西太后の時代の激動を描き『鉄道員(ぽっぽや)』の前年に“幻の直木賞受賞作”と呼ばれた大傑作『蒼穹の昴』、義和団事件の裏側に迫る宮廷ミステリー『珍妃の井戸』、馬賊から中国の覇者を目指した張作霖の大冒険『中原の虹』、張作霖爆殺事件の真相を日本の軍人が追う『マンチュリアン・リポート』、張作霖の力を引き継いだ張学良は欧州へ。ラストエンペラー・溥儀が皇帝となる満洲国と軍国化が進む日本の浅からぬ関係を綴った『天子蒙塵』。天命の具体「龍玉」の在り処を鍵として紡がれる浅田次郎氏の近代中国大河小説『蒼穹の昴』シリーズは、『兵諫』が第6部となる。

▲ 明代に築かれた西安の城郭は一周約14キロメートル、高さ12メートル、上部の幅が12~14メートルという巨大なもの。

北京の中国法院博物館にて裁判の場面を構想。
かつて周恩来も滞在した上海のアスター・ハウス・ホテル内部。本作の舞台ともなっている。

 1936年12月、長く続いていた国民党軍と共産軍との内戦は最終局面を迎えており、蒋介石はいよいよ共産軍を殲滅しようと南京から前線の西安へ進出した。だが12日未明、剿共戦に当たっていた張学良が突如叛旗を翻し、蒋介石を拉致監禁して内戦の停止や一致抗日を要求した。盟友だった二人の間にいったい何があったのか。解決に至る道筋も含めて現在まで謎に包まれている西安事件を、浅田氏は歴史ロマンとして読み解き、シリーズのターニングポイントとなる傑作『兵諫』を世に問う。

上海のバンド(外灘)を取材中。

事件当時を再現したジオラマ。右上の建物が事件発生当時、蒋介石の滞在場所だった「五間庁」。
事件後、張学良と周恩来が対面して交渉した西安の張学良公館。現在は西安事変記念館になっている。

★「蒼穹の昴」シリーズ第6部は、興奮の軍事法廷ミステリー!

『兵諫』

日本で二・二六事件が起きた1936年。中国の古都、西安近郊で、国民政府最高指導者、蒋介石に張学良の軍が叛旗を翻すクーデターが発生。蒋介石の命は絶望視され、日米の記者たちは特ダネを求め、真相に迫ろうとする。

日本では陸軍参謀本部という秘密の匣の中で石原莞爾が情報を操っており、中国では西安事件の軍事法廷で、張学良は首謀者ではないとする証言がなされた。

日本と中国の運命を変えた2つの兵乱にはいかなるつながりがあったのか。

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