隣のテーブルの会話にある『絶叫委員会』的なもの。
文字数 880文字
外で食事をしていると、隣のテーブルの会話がどうしても聞こえてきてしまい、そこから彼ら彼女らの関係や、席を立った後の展開を想像してしまう癖があります。
カフェで女子大生が「カットモデルやったら髪めっちゃガタガタに切られたの~。でもタダだししょうがないよねぇ~」とか。
はたまた突然予想もしない方向から自分に言葉が降りかかってくることもある。スーパーで買い物をしていたら隣にいた知らないおばさんに「これいくら?」と聞かれたりとか。
そんな話を友人にしたら、穂村弘さんの『絶叫委員会』を勧められました。
誰の日常にも絶対に潜んでいるはずの印象的な言葉たちにまつわる、穂村さんのとめどない妄想と独特な見解に溢れたエッセイです。
表紙には「猛犬にっこり」、「彼女が泣くと永遠を感じます」、「わざわざ遠くから来ているのにお寿司にされてかわいそう」などありそうでないような、でも聞いたことのある気がしてくる、まるで日常と非日常に片足ずつ突っ込んでいるような気持ちになる言葉がいっぱい。
こんな風に本を1冊作れるほどの言葉の出会いは私には今のところない。でも、この本のように日常にある宝石みたいな言葉を見つけ出して、くすくすと日々を楽しんだり言葉の組み合わせに悶絶したりしてみたい。
そういえば、穂村さんはスターバックスがお洒落すぎて注文時に緊張してしまうと別の本で読んだ(私もです)。シャイだからこそ、周りのことが気になって、人とはちょっと違う景色が見えてくるんだろうか。それって疲れないのかな、でもあんな風に考えているんだとしたらきっと楽しそうだな。頭の中、どうなってるんだろう。
穂村さんの作品を読んだのはこの本が初めてでした。以後、私の「頭の中が気になる人ランキング」の上位にランクインしてもらっているため、日々穂村さんの作品を読み漁っています。
『絶叫委員会』穂村弘/著(ちくま文庫)