『猫弁と狼少女』文庫化記念コメント/大山淳子
文字数 1,081文字
大山淳子さんの大人気「猫弁」シリーズ文庫最新刊『猫弁と狼少女』が発売です!
11月には「猫弁」第2シーズン最終巻となる『猫弁と奇跡の子』刊行を控え、最終チェック真っ最中の大山さんから、文庫化を記念してコメントをいただきました。
『猫弁と狼少女』文庫化によせて/大山淳子
父の仕事の都合で、子どもの頃は転校を繰り返しました。
ある学校に、裸足で登校してくる子がいました。校庭を全速力で走る姿が印象的でした。
ある日、教師はその子を叱りました。
「風呂に入ってこい!」と。
たしかにその子は臭かった。
でもそれってその子のせい?
わたしは教師にひどく落胆し、なのに何も言えませんでした。
その子と話す機会もないまま再び転校しました。
その時わたしがやりたかったことを今作で百瀬太郎にやってもらいました。
思えば猫弁シリーズって、弱虫作家の人生の悔いを主人公に代行してもらう物語なのかもしれません。
百瀬はできた人で、「自分でやれば?」などと言わずに次々とわたしの願いを叶えてくれました。
このあと11月には次作『猫弁と奇跡の子』(単行本)が刊行されます。
いよいよ今シーズン最終巻です。
ついに百瀬は人使いが荒い作家から解放されるでしょうか?
どうぞ楽しみにお待ちください!
大山 淳子(オオヤマ ジュンコ)
東京都出身。2006年、『三日月夜話』で城戸賞入選。’08年、『通夜女』で函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリ。’11年、『猫弁~死体の身代金~』にて第三回TBS・講談社ドラマ原作大賞を受賞しデビュー、TBSでドラマ化もされた。著書に「あずかりやさん」シリーズ、『赤い靴』『犬小屋アットホーム!』など。「猫弁」シリーズは多くの読者に愛され大ヒットを記録したものの、惜しまれつつ、’14年に第1部完結。’20年9月に『猫弁と星の王子』を刊行し、猫弁第2シーズンをスタート。
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