連作にすると決めたとき、すべて男性視点でいこうと思いました。堀尾葉介の魅力を表現するためです。アイドル出身の美形俳優というと、どうしても女性人気が先行すると思われがちです。ですが、彼は男性から見ても魅力的で「男が惚れる男」です。年齢性別を超越して、ありとあらゆる人間を魅了する化け物のようなスターにしたかったのです。


書きにくかったのは第五章「真空管……」の丸子(まるこ)ですね。この話は苦労しました。彼はごく普通のシングルファーザーで常識人です。こぢんまりとした話を退屈せずに最後まで読んでもらう、というのは非常に難しかったです。


女性陣はみな書きにくかったですね。同性の登場人物に対して余計な意識をしてしまうのか、扱い方がよくわからないんです。女性の中でただ一人、書きやすかったのは堀尾葉介の母、佐智(さち)です。最初から最後まで楽しくノリノリで書いてました。この人物に関しては、迷うこともブレることもありませんでした。

作品タイトル:【新刊インタビュー】

記事名:『雨の中の涙のように』刊行記念 遠田潤子 インタビュー

作者名:小説宝石  hosekikobunsha

|その他|連載中|6話|33,689文字

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