一つは、2 0 1 6年、津久井やまゆり園の「相模原障がい者施設殺傷事件」です。事件そのものにも憤りと絶望を覚えましたが、もう一つショックだったのは、ネットで植松(うえまつ)被告(死刑判決が確定)を擁護するまではいかなくても、気持ちはわかるという声が散見されたことです。暴力はいけないが、植松被告の主張に倣(なら)うような「意思疎通も身の回りのこともままならないような障がい者は生きていても迷惑をかけるだけ」という論調が少なくなかった。それは違うと否定したかったんです。なので、最初は、事件を彷彿(ほうふつ)させるような流れで、障がい者施設で働いていた青年が次第に思想を変化させていく様子を書くつもりでした。けれど、事件の背景など直接にはわかり得ないことも多いし、事件をそのままなぞるような書き方はどうかと考え直しました。

作品タイトル:【新刊インタビュー】

記事名:『ワンダフル・ライフ』刊行記念  丸山正樹 インタビュー

作者名:小説宝石  hosekikobunsha

|その他|連載中|6話|33,689文字

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