おんなのこものがたりができるまで

文字数 2,336文字

幼児向け雑誌「おともだちピンク」NOVEL DAYSILLUST DAYStreeの合同企画で、児童向けの物語、絵本の作品を募集中です!

おともだちピンク」は3歳から6歳ぐらいに向けた、子ども雑誌そこでおんなのこが主役の物語を書いてみませんか? 同時に「絵」と「物語」双方オリジナルの絵本も募集中です!


 「おともだちピンク」誌上で、長い間シリーズとして掲載されている「おんなのこものがたり」。どんなふうにして作られているのでしょうか。編集部から、制作秘話が届きました! ぜひ応募作品制作の参考にしてみてくださいね。

 おともだちピンクで連載している「おんなのこものがたり」。女の子が主人公の世界の名作や女性の偉人の物語を、小さいお子さんに読み聞かせできるように、やさしい言葉で短くまとめた物語です。大変うれしいことに好評をいただき、ご長寿連載となっています。そんな「おんなのこものがたり」がピンクの誌面を飾るまで、制作現場は何を考え、どんなことをしているのかを、お話しようと思います。


 まずは、どのお話にするのかを決めるのですが、ここで「前回はヨーロッパが舞台のお話だったから今回はアジアにしよう」とか、「世界的に功績のある日本人を紹介したい」など考えていくつかの案を出し、編集部内で相談して決めていきます。


 そしてどのお話にするか決まったら、そこから資料集めに入ります。特に実在する方のお話にする場合、この資料にあたるところがとても重要になります。

イラスト/K2商会

 例えば、向井千秋さんの場合。向井さんのことはTVや新聞、雑誌などで見たり読んだりしていて、お顔はすぐに浮かびますが、実際向井さんの半生、となると詳しくは知らない方が多いのではないでしょうか。

 宇宙飛行士になる前はどんなお仕事をされていたのか? どうして宇宙飛行士になりたいと思われたのか? 子ども時代はどんな子だったのか? …知らないことだらけです。


 そこでまず向井さんについて書かれた本を集め、向井さんの人生、人となりなどを把握したうえで、幼いお子様たちが読んで「向井さんみたいに宇宙飛行士になって宇宙に羽ばたきたい!」と思ってくれるような、夢のある物語になるように、わかりやすくまとめます。

 ここで留意するのは、その人物の個性や魅力、成し遂げたことのすごさ、今の私たちへの影響、そして読後感の良さです。

イラスト/牧村久実

 名作物語の場合は、主人公が自分で考え行動し、問題や事件を解決していくことに重きをおいてお話をまとめます。

 ところが、前回の「男の子も女の子も桃から生まれて泣けばいい」の記事に書かれているように、世界の名作物語の多くは、女の子がじっと王子様を待っているような、あまり活躍しないお話が多いのが実情です。でも現代の女の子には「ただじっと待っている」というような世界は魅力的ではありませんよね。そこでお話の中から意図的に主人公が行動するエピソードを選んでいます。

 そのあと、児童文学作家の方に、子どもにわかりやすい簡単な言葉で、魅力が伝わるように書いていただきます。ここで気をつけているのは、文章のリズムです。声に出して読んでみたときに、読みやすく、また聞いてわかりやすいか、そしてリズムよく響くかがとても大切なのです。実際、作家の先生の原稿があがったとき、編集部で声に出して読んでみたりしています。

イラスト/サクマメイ

 物語ができたら、次はそれに添える「イラスト」です。すてきな物語を、わかりやすく、かつ魅力的に伝えるために、こちらもプロのイラストレーターや漫画家の方にお願いしています。


 作家の方の原稿を元に、物語に合ったイラストを描いていただくのですが、ここで「文章では伝わりにくい部分を、絵で表現する」ということが重要です。例えば「髪の毛をリボンでかわいらしく結って」と言われても、どんなふうに「かわいらしい」スタイルなのか、今一つわかりませんよね。ですから、そこはイラストで描いていただきます。そうすれば一目で「わあ、かわいいまとめ髪!」とわかります。


 また、絵で「想像力が広がるような」「夢があるような」表現ができるように、ということも考えます。単にそのシーンをそのまま説明のように描くのではなく、主人公が嬉しい気持ちでいるところなら、輝く花を背景に散らしてみたり…と、心境を効果で演出してみたりします。

 また、小さなお子さんが対象の場合、主人公と読み手の視点が合うこともとても大切です。


 そうすることで、「この人のお話なのね」と伝わるのです。なので、まず1ページめでは意識的に主人公をアップで登場させ(アップにするのも、その人物が中心人物と伝わるようにするためです)、視点を読み手と合うように描いていただきます。

 また色味も、暗くならないように、明るいきれいな色味でお願いしています。


 そうして仕上がった絵と物語を合わせて、デザイナーの方にタイトルや飾りなどをデザインしていただき、間違いがないかを何度もチェックしたあとに印刷し、やっと雑誌になります。こうして「おんなのこものがたり」はみなさんのお手元に届くことになります。一つの物語の背後には、これから未来を担うお子様の将来を考えた、編集部の強い思いがあるのです。


 将来、「おともだちピンクで読んだおんなのこものがたりで、こういう仕事をしたいと思ったの」とか、「あの主人公のようになりたいと思ったのがきっかけ」などと言ってくださる読者がいるといいな……。そう思いながら、今日も私たちは「どんなお話にしようかな」と考えているのです。



 

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