お正月といえば、やっぱりミステリーでしょう!

文字数 2,417文字

新年あけましておめでとうございます!!


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さて、お正月といえば、1富士 2鷹 ミステリー

……ということで、2023年1発目は「お正月(大晦日を含むのはご愛嬌)を舞台にした推理小説」10本をご紹介!

おせちとお雑煮を食べたあとは、こたつに入ってミカンをつまみながら、謎解きとしゃれこみましょう!

大晦日、納屋に二人きりで閉じ込められた男女の運命は!

『遠回りする雛』(米澤穂信)


『氷菓』に始まる「古典部シリーズ」初の短編集。「あきましておめでとう」はお正月に折木奉太郎と千反田えるが神社の納屋に閉じ込められてしまうというお話です。地元の良家の娘であるえるがいるため、注目されることなく脱出しなければならない……という条件付き。一押しのお正月ミステリです。
一族が集まったお正月に起こる殺人事件! でも、あれ? これってループしてる⁉

『七回死んだ男』(西澤保彦)


SFミステリーの傑作長編。お正月、一族が集結する新年会で、富豪の祖父が後継者を決めると言い出し、後継を狙うものたちの間で不穏な空気が流れた。やんぬるかな。祖父は殺されてしまう。しかし、高校生の久太郎には特異体質があった。同じ一日を繰り返すタイムループの異能を持っていたのだ。繰り返される事件の中で、久太郎は事件を止めることができるのか……。
年越しの瞬間から始まる、未曾有の連続首切り殺人事件!

『コズミック 世紀末探偵神話』(清涼院流水)


「今年、1200個の密室で、1200人が殺される。誰にも止めることはできない」1994年の1月1日、前代未聞の犯行予告状が全国にばら撒かれた。差出人は「密室卿」! 1200年のあいだ、誰にも解かれることがなかった密室の秘密とはーー。やがて全人類の命運を握ることとなるJDCシリーズの第1作にして、第2回メフィスト賞受賞作、何より「大説家」清涼院流水の衝撃デビュー作!
一羽の鶴が東京の空に舞った大晦日、ある落語家が殺された。

『変調二人羽織』(連城三紀彦)


「文芸」という言葉通り、小説の世界は文字による芸術の世界なわけですが、連城三紀彦ほどに美しい芸術を生み出した人はそう多くないのではないか。連城初期の傑作短編が表題作「変調二人羽織」です。お正月にある落語家が殺され、容疑者はその密室に居合わせた関係者たち。捜査が進むにつれ明らかにある衝撃の真相は。

大富豪の別荘で、少女が当主である大叔父の命を奪った⁉  一族は隠蔽工作を行うが……。


『Wの悲劇』(夏樹静子)


正月、日本有数の製薬会社の会長家が別荘に集まっていた。そんななか殺人発生! 家族の誰からも愛される少女の殺人を隠蔽するために、一族は事件を捏造しようとするが……。クイーンの名作『Yの悲劇』に捧げた夏樹静子の意欲作です。

美袋三条は正月にメルカトル鮎を訪ねるが……。

『メルカトルと美袋のための殺人』(麻耶雄嵩)


(作風の)クセの強い新本格推理作家たちの中でも抜きん出てクセが強いことで知られるトリックスター・麻耶雄嵩氏の短編集。その収録作「ノスタルジア」がお正月を舞台にした短編です。美袋三条が、メルカトル鮎の「犯人当て」に挑みます。読者(あなた)は、その密かに込められた超絶技巧に気付けるでしょうか?
描かれるのは、じっとりとした人間の怨念の積み重なり。

『正月十一日、鏡殺し』(歌野晶午)


『葉桜の季節に君を想うということ』『密室殺人ゲーム王手飛車取り』などで知られる歌野晶午氏による、ミステリーテイストも持ちつつホラー的な人間情念の描き方が特に光る短編集です。表題作にもなっている「正月十一日、鏡殺し」は丹念に描かれる「人が狂っていく様」が圧巻。じっとりとした小説が読みたい時にどうぞ!
「除夜の鐘」の代わりに「教会の鐘」はいかがですか?

『ナイン・テイラーズ』(ドロシー・L・セイヤーズ/浅羽英子 訳)


乱歩も愛したという名作長編。ミステリーにおいて「除夜の鐘」ものというジャンルはないかもしれませんが、セイヤーズの『ナイン・テイラーズ』はそう呼んでも良いのかもしれません。ピーター卿は事故によりある村に滞在することになり、そこの教会で新年を迎えるための鳴鐘儀式に参加することに。鐘の音は、恐るべき事件の幕開けとなる……。多層的な謎が魅力のマストリードな1冊です。

大晦日に発生した無差別殺人テロ! 予告されたテロを塞ぎ切れるのか?

『悪魔の涙』(ジェフリー・デーヴァー/土屋晃 訳)


仕事納めもなんのその。20世紀が終わろうという大晦日のワシントンで事件は起こります。地下鉄で乱射事件が発生、直後に犯人が出した脅迫状には「身代金2000万ドルを用意しなければ午後4時、午後8時、午前0時に無差別殺人を行う」とある。手書きの脅迫状を解析するのは、FBI筆跡鑑定人キンケイド! 最悪を回避し、新年を迎えることができるのか!
日本の四季折々の風物詩を盛り込んだ東野ミステリーの傑作!

『素敵な日本人』(東野圭吾)


トリを飾るのは東野圭吾の傑作短編集『素敵な日本人』。日本の年中行事を趣向に取り入れたミステリ短編など、9編が収録されています。まさに正月をテーマにしているのは「正月の決意」。初詣に死を決意していた夫婦が神社で出会った事件とは……。皮肉という「毒」も盛り込みつつ、それが登場人物への救いになっていたりするのは、お見事! の一言。
いかがでしたでしょうか?

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2023年の三が日は、「ミステリー正月」に決まりですね!

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