マルチな鬼才・ジェントルメン中村のRAPを御覧じろ!

文字数 953文字

ラップという名の祈りと哭泣! 奇跡のラップ書評

「伝えなきゃいけない、という気持ちが出たと思います。ホント、面白い本なんです」。


オカルト&ノワールの傑作、『魔導コンフィデンシャル』(朝松健/著)をラップで紹介する。そんな無謀とも思える難事業を終えた後、中村氏が静かに紙袋を脱ぎながら漏らした述懐である。


確かに、そのライムはいつもに増して力強いものだった。

『魔道コンフィデンシャル』

朝松健

ジェントルメン中村氏は2003年、別冊ヤングマガジンにて『マスラオ桶狭間』でデビュー。現在も文芸誌「小説現代」で『ようこそ! アマゾネス☆ポケット編集部へ-NOW-』という長いタイトルのマンガを連載中だ。レッキとしたマンガ家である。


だが、中村氏にはもう一つの顔がある。それがラッパー「MC紳士」としての顔。特に、その『三十路の衝動』(MC紳士&MAD刃物)は、憧憬と懐古の思い溢れるリリックによって、ライムスター宇多丸氏の激賞を得た。「ジェントルメンレコーズ」なるレコードレーベルの主宰も務め、二枚のEPを発表している。


さらに、中村氏には語られるべきもう一つの側面がある。


それは「読書家」としての一面だ。もちろん、世に本好きは多い。今日も多くの読書子が、そこから娯楽や知識を得ようと書を繙いていることだろう。


だが、中村氏の読書は一風変わっている。常に本の中に「真の漢(おとこ)」を探し求めているのだ。だから、中村氏が北方謙三氏の著した『三国志』を語るとき、その両の目は炯炯とした光を帯び始める。


マンガ家、ラッパー、読書家。『ジェントルメン中村のラップ書評』は、中村氏の中でこれらの要素が鼎立しているからこそ成立した、奇跡のような番組である。そして、BundanTV(新進気鋭の動画制作集団「NMM」が製作、配信)の総力を結集して作り上げたという特殊効果やテキストスクロールの技巧が、否が応にもそのリリックを視聴者の脳裏に刷り込んでいく。


愛する本を謳い上げるべく、中村氏が連載の合間を縫って辛苦の中で刻んだライムとそのパフォーマンスを、ぜひご覧頂きたい。

BundanTV:「次、何読もう?」をコンセプトに、本にまつわる楽しい動画をYouTubeの片隅から配信している。毎日更新。


(Written by BudanTV編集部)

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