戦百景 山崎の戦い完全ガイド⑤

文字数 1,508文字

全国の合戦好きの皆様、歴史をもっと深く知りたい皆様に贈る、日本の歴史に残る有名な合戦を活写&深堀りして大好評の矢野隆さんの「戦百景」シリーズ、第6弾が刊行です

第6弾は、明智光秀と羽柴秀吉の天下を分けた一戦を描いた『戦百景 山崎の戦い』


「戦百景」シリーズ既刊

第1弾『戦百景 長篠の戦い』は「細谷正充賞」を受賞!

第2弾『戦百景 桶狭間の戦い』

第3弾『関ヶ原の戦い』

第4弾『川中島の戦い』

第5弾『本能寺の変』


今回は、山崎の戦いを地図とコラムで紹介します!

コラム《信長の後継者を決めた合戦》


 織田信長は天下統一へ向けて、いわゆる軍管区制を設けていた。それを担う重臣は北陸方面の柴田勝家、関東方面の滝川一益、四国方面の織田信孝、中国方面の羽柴秀吉、そして畿内方面の明智光秀の5人である。


 本能寺の変が起きたとき、首謀者・光秀以外の4人はどういう状況にあったのか。

 筆頭家老の勝家は、越中(現・富山県)で上杉謙信の後継者・景勝と交戦中にありすぐには動けなかった。上野国(現・群馬県)にいた滝川一益は変を知った北条軍に攻められ命からがら本拠・伊勢国(現・三重県)に逃げ帰っている。信孝は四国攻めの準備中で、重臣・丹羽長秀とともに摂津にいた。単独で光秀に立ち向かう力はなく、のちに秀吉軍に合流する。


 そして秀吉。変が起きてからわずか9日で摂津に帰還。しかもその間、「信長は生きている」というフェイクニュースを畿内に流して戦前の情報戦にも勝利し、山崎においてみごと光秀を撃破するのである。


 この戦いの勝利によって信長の後継者の名乗りを上げた秀吉に異を唱えた勝家は、のちに賤ケ岳の戦いで秀吉に敗れ滅亡する。

 つまり「天王山」の成句どおり、山崎の戦いに勝利した秀吉が天下人となったのである。

織田信長を斃した明智光秀と、中国大返しを果たした羽柴秀吉。

天下を賭けた二人の決戦の真相に、シリーズ史上最大の深掘りで迫る!


1582年(天正10年)6月2日、本能寺の変で織田信長が横死すると、収まりかけていた天下の趨勢が大きく動き始める。備中高松城で毛利方の城主・清水宗治を攻めていた羽柴秀吉は、軍師・黒田官兵衛の助言に従い毛利家と和睦。電光石火の早業で畿内に取って返した。世に言う「中国大返し」。他方、信長を斃した明智光秀は、頼みとしていた縁戚の細川藤孝・忠興父子や寄騎だった中川清秀、高山右近、筒井順慶らを味方に引き入れられず、劣勢のまま秀吉軍を迎え撃つことになった。信長三男・三七信孝と丹羽秀長を加えて4万に膨れ上がった秀吉軍に対し、武田元明、京極高次などわずかな加勢にとどまった明智軍は1万余。そして天下人を決めるであろう運命の6月13日、京への入り口にあたり隘路でもある山城国・山崎を決戦の地に選んだ光秀は、天王山を占拠していた秀吉軍とついに激突を……。

矢野隆(やの・たかし)

1976年福岡県生まれ。2008年『蛇衆』で第21回小説すばる新人賞を受賞。その後、『無頼無頼!』『兇』『勝負!』など、ニューウェーブ時代小説と呼ばれる作品を手がける。また、『戦国BASARA3 伊達政宗の章』『NARUTO-ナルト‐シカマル新伝』といった、ゲームやコミックのノベライズ作品も執筆して注目される。また2021年から始まった「戦百景」シリーズ(本書を含む)は、第4回細谷正充賞を受賞するなど高い評価を得ている。他の著書に『清正を破った男』『生きる故』『我が名は秀秋』『戦始末』『鬼神』『山よ奔れ』『大ぼら吹きの城』『朝嵐』『至誠の残滓』『源匣記 獲生伝』『とんちき 耕書堂青春譜』『さみだれ』『戦神の裔』『琉球建国記』などがある。

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