作家たちの呑み話 File No.3

文字数 2,187文字

※この記事は赤星探偵団からの転載です
今回取材に訪れたお店【博多小皿鉄板 べっぴんしゃん

小説家二人がリレー形式で、作品・執筆について赤星を交えて語っていく新企画。綺羅星のような物語はどのように生まれたのか? 心を揺さぶる言葉はどう紡がれていったのか? 二人の間にはいつも美味しい料理と赤星があります。


第2回は、第1回に登場した凪良ゆうさんはそのまま、お相手は多崎礼さんから町田そのこさんにバトンタッチ。


町田さんは2021年本屋大賞受賞の代表作『52ヘルツのクジラたち』が実写映画化され、今年3月より絶賛公開中。


原作者として全国各地の映画館で舞台挨拶に参加し多数の締め切りも抱えるなかで、「凪良さんと赤星が飲みたい!」という一心でこの日福岡から上京してらっしゃったのでした。

初対面はリモート飲み会 開始5秒でベロベロ!?

町田 今日はガッツリ飲むぞって気合いを入れてきました。イヤリングもビールジョッキです。


凪良 ホントだ! 私も準備万端ですよ。昨日いっぱいお酒を飲んだので、まだ酔いが残ってる状態ですもん(笑)。


町田 私も、さっき羽田空港の蕎麦屋でビールを飲んできました。普通にそばと天ぷらをつまみに、中ジョッキをちょっと1杯だけ。


凪良 今から飲もう食べようって企画なのに、どうしてそんな暴挙に出るんですか(笑)。とりあえず赤星で乾杯しましょう!


二人 かんぱーい。おいしい!!

凪良 町田さん、ビール党ですよね。


町田 ビールしか飲まないんですよね。ビール以外を混ぜると、途端に絡み酒になる。


凪良 そういう姿も見てみたいけど(笑)。


町田 やめた方がいいと思います(笑)。私、それこそ赤星とか、昔ながらのビールが好きなんですよ。最近のビールって、ちょっとフルーティーだったり、酸味が強かったりするじゃないですか。コーヒーもそうなんだけど、昔ながらのストロングタイプのやつが一番なんです。


凪良 赤星は、家の近所に好きなラーメン屋さんがあって、そこに置いてあるからよく飲むんです。


町田 私も行きつけのうどん屋さんでいつも飲んでいます。そのお店、もつ鍋うどんが美味しいんですよ。そこに乗っかっているもつとごぼ天でビールを飲んで、シメでうどんを食べるんです。


凪良 もしかしてそのお店、「(すけ)さんうどん」?


町田 よくご存知で。北九州住民のソウルフードなんですよ。北九州住民は全員、「資」の字を「すけ」と読めます。

店員 本日のお通しです。天草産のアカモクと、肝臓に優しいしじみ汁をお持ちしました。


凪良 しじみ汁、二日酔いの友ですよね。沁みる……。アカモクを食べるの、私初めてかもしれない。わっ、シャッキシャキだ。


町田 九州ではアカモク、よく食べるんです。今日は博多料理のお店ですもんね。

店員 明太だし巻きです。生のりクリームをスプーンですくって、かけてお召し上がりください。明太子は、福岡の右近商店さんが作った自家製です。


町田 何これ美しい! 美味しい!!


凪良 きれいで美味しいって、最高ですよね。


町田 凪良さんとこうやって一緒にお酒を飲めていることも最高です。なんだかんだで、なかなかお会いできなかったじゃないですか。最初にリモート飲み会をした時と、ちょっと前に大人数で飲んだ時以来です。


凪良 リモート飲み会!! 楽しかったですよね。コロナ真っ只中の時にお家のパソコンをZOOMで繋いで、それぞれお酒を用意して。


町田 担当編集さんたちに、凪良さんのことが好きです会いたいですと言っていたら、「じゃあ、ZOOMで凪良さんのお誕生日会しますか?」となって、「よっしゃあ!」と。


凪良 本屋大賞のノミネートのお祝いも兼ねていたんですよね。あの年は見事、町田さんが大賞を射止められて(『52ヘルツのクジラたち』)。


町田 ただ、リモートであれど憧れの人に会うのってめちゃくちゃ緊張するので、景気付けに始まる前からビールを飲んでいたんですよ。そうしたら、開始5秒でベロベロで(苦笑)。


凪良 あの時の町田さんはすごかった。私も結構、緊張していたんですよ。何しゃべろうかなってちょっとネタも用意していたんですけど、町田さんがフルスロットルで来てくださったおかげで、そういう気遣いをしなくていい人なんだって気が楽になりました。


町田 私のお粗相を受け入れくださった凪良さん、大好きです(笑)。

書くためにお酒を飲むか 書けない時にお酒を飲むか

店員 牡蠣餃子です。そのままでも美味しいですが、宮崎の生産者さんから送っていただいたゆずこしょうをぜひ使ってみてください。


凪良 私、ゆずこしょう大好き。何もおつまみなかったときに、ゆずこしょうをつまみにお酒を飲んだことがあります。


町田 さすがに体壊しますよ!(笑) 凪良さんは、小説を書く前にお酒を飲むんですよね。


凪良 小説を書く前ってすごく緊張するんです。少しでもそれを和らげたくて、朝のコーヒーの後に必ずウイスキーを飲んでいました。そして、その後も飲む(笑)。


町田 私はどちらかというと、お酒を鼻面にぶら下げたニンジンにして書くタイプ。夕方6時から飲むって決めているので、それまではお酒を控えて頑張って、終わったら飲むぞ、と。ただ、書けない時とか、小説とうまく向き合えない時は朝から飲みます。


凪良 書けない時に飲むんですね。

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