➂お涼さまの名言実践講座その1
文字数 1,500文字

『創竜伝』『銀河英雄伝説』『アルスラーン戦記』など大人気シリーズを世に送り出してきた田中芳樹さんのもう一つの人気シリーズ、「薬師寺涼子の怪奇事件簿」。最新刊『海から何かがやってくる 薬師寺涼子の怪奇事件簿』が講談社文庫より刊行になったのを記念して、お涼さまの魅力を深堀りしていきます!
3回めの今回は、作品に登場するお涼さまの名言を実生活で役立てよう!という実践講座。
ただし、その後の責任はとりかねますので、各自自己責任でお願いいたします!
薬師寺涼子、またの名を「ドラよけお涼」。ドラキュラさえもがよけて通るお涼さま。
その華麗なる容姿、学歴、家柄、財力を武器(?)に、歯に衣着せぬ発言は、傍若無人ともとれますが、実は世の中の矛盾や不平等を鋭くついているのです……!
日々暮らしているといろんな理不尽な目に遭うも、なかなか瞬時にがつん!と言えず、しょんぼりすることもあるかと思います。そんな時こそ、お涼さまの登場です!
心はお涼さまになって、キレッキレの鋭い返しをしてみては。
…という訳で、お涼さまの名言使用例を紹介しましょう。
【ケース1】
1人暮らししているマンションの部屋から階下の部屋への漏水が。
管理会社から連絡がはいり、調査員が来ることに。
ピンポーン。
ドアを開けると、そこには3人の男性たち。
「調査に来ました。」
「はい、よろしくお願いします。」
男性一人が名刺も渡さないばかりか名前も名乗らず靴を脱いで上がりこみ、
「おたく、ひとり?旦那さんは?」
「…1人ですが……。」
「ああ、そう。女の人にはわからないと思うけど、ここがね、あーでこーで云々。」
「いいえ、わかります。そこのジョイント部分から漏水しているんですよね。」
「まあ、こういうのは彼氏とかがいればすぐにわかるんだけどね。いないの? 誰か。男性は。」
…ここで言いたいお涼さまの一言は!
「ご心配なく。恋人はいないけど、奴隷と家畜が何人もいますから」

【ケース2】
子どもが学校でいじめられているらしい。最近、青あざばかり作ってくる。
今日はついに顔をすりむいてきた!
「…どうしたの? 誰とケンカしたの?」
「ケンカじゃないよ。ケンカって、両方が手を出したり口を出したりすることでしょ。
あたしは、どっちもしてないもん。一方的に絡んでくるのよ。」
な・ん・で・す・と──⁉
訊けば、相手はクラスのボス女。お気に入りの男の子がうちの子をかばったのが気に入らないらしい。
「泣き寝入りはしないわよ。さあ、一緒にその子の家まで行くわよ。」
「えええ、でも証拠がないよ? 絶対自分はやってないってシラをきるにきまってるよ。」
ピンポーン。
ボス女の家で、向こうの親に事情を説明すると、
「はあ?うちの子のほうが被害者なのよ。何を証拠にうちの子がやったなんていうのかしら⁉ 証拠を見せてみなさいよ!」
と、謝るどころか逆ギレ。
──こうなったら正論は置いといて、この一言を。
「あたしとアメリカ軍のやることに、証拠なんていらないわ!」
『海から何かがやってくる 薬師寺涼子の怪奇事件簿』
敵は深海怪獣、自衛隊、海上保安庁!?
警視庁の破壊の女神、絶海の孤島で
全軍突撃!
絶海の孤島に作られたリゾート地に怪生物が襲来。飛行艇が破壊され、島の人々に危機迫る。未解決事件の捜査で居合わせた薬師寺涼子警視は事態の収拾を急ぐが、海自と海保との主導権争いに巻き込まれ……。怪物と悪役(?)相手に「ドラよけお涼」の血が騒ぐ。部下の泉田を引き連れて不穏な謀画スタート!