刀城言耶シリーズ、どの作品から読む⁉

文字数 2,452文字

三津田信三さん『忌名の如き贄るもの』文庫版が刊行です!

大人気の刀城言耶シリーズ、11作目…ということで、三津田信三さんに「どの作品から読むのがいいですか?」と訊いてみたところ──。

刀城言耶シリーズは『忌名の如き贄るもの』が11冊目になります。

どの作品から読んでもネタばらしなどの問題はありませんので、どうぞお楽しみ下さい。

ただ作者としては、できれば親本の発表順で読んでもらえると嬉しいです。

本シリーズは13冊で完結させるのが、数字的にも美しいかなと最近は考えています。

最終刊は刀城言耶最初の事件となる『九つ岩石塔殺人事件 復刊版』(仮)です。

これは最初から決めていました。乞うご期待!


三津田信三

「刀城言耶シリーズ」作品紹介(刊行順)

『厭魅の如き憑くもの』まじもののごときつくもの)

神々櫛村。谺呀治(かがち)家と神櫛(かみぐし)家、2つの旧家が微妙な関係で並び立ち、神隠しを始めとする無数の怪異に彩られた場所である。戦争からそう遠くない昭和の年、ある怪奇幻想作家がこの地を訪れてまもなく、最初の怪死事件が起こる。本格ミステリーとホラーの魅力が圧倒的世界観で迫る「刀城言耶」シリーズ第1長編。

『凶鳥の如き忌むもの』まがとりのごときいむもの)

 瀬戸内海の兜離の浦沖に浮かぶ鳥坏島。鵺敷神社の祭壇”大鳥様の間”で巫女、茜は神事”鳥人の儀”を執り行う。怪異譚蒐集の為、この地を訪ねた刀城言耶の目前で、謎の人間消失は起きた。大鳥様の奇跡か? 鳥女と呼ばれる化け物の仕業か?

『首無の如き祟るもの』くびなしのごときたたるもの)

奥多摩の山村、媛首(ひめかみ)村。淡首(あおくび)様や首無の化物など、古くから怪異の伝承が色濃き地である。3つに分かれた旧家、秘守(ひがみ)一族、その一守(いちがみ)家の双児の十三夜参りの日から惨劇は始まった。戦中戦後に跨る首無し殺人の謎。驚愕のどんでん返し。

『山魔の如き嗤うもの』やまんまのごときわらうもの)

忌み山で続発する無気味な謎の現象、正体不明の山魔、奇っ怪な一軒家からの人間消失。刀城言耶に送られてきた原稿には、山村の風習初戸(はど)の“成人参り”で、恐るべき禁忌の地に迷い込んだ人物の怪異と恐怖の体験が綴られていた。「本格ミステリ・ベスト10」2009年版第1位。

『密室の如き籠るもの』 (ひめむろのごときこもるもの)

旧家の猪丸(いまり)家に現れた記憶のない謎の女・葦子(よしこ)は、開かずの間だった蔵座敷で“狐狗狸さん”を始める。だが、そこは当主・岩男の前妻たちが死んだ場所だった。刀城言耶が訪れた日も“狐狗狸さん”が行なわれるが、密室と化した蔵座敷の中で血の惨劇が起こる。 “刀城言耶”シリーズ第1短編集。

『水魑の如き沈むもの』(みづちのごときしずむもの)

奈良の山奥、波美地方の“水魑様”を祀る四つの村で、数年ぶりに風変わりな雨乞いの儀式が行われる。儀式の日、この地を訪れていた刀城言耶の眼前で起こる不可能犯罪。今、神男連続殺人の幕が切って落とされた。第10回本格ミステリ大賞受賞。

『生霊の如き重るもの』(いきだまのごときだぶるもの)

奇っ怪な分身、"生霊"の目撃談が語り継がれる奥多摩の旧家、谷生家。それが現れるとき、当人に死の影が指すと恐れられる謎の現象である。同家を訪れた刀城言耶は、そこで不可解な復員兵の死に遭遇するのだが……。学生時代の事件簿"と言うべき"刀城言耶"シリーズ第2短編集。

『幽女の如き怨むもの』(ゆうじょのごときうらむもの)

13歳で遊女となるべく売られた少女。”緋桜”と名付けられ、身を置いた世界は苦痛悲哀余りある生き地獄だった。戦前、戦中、戦後、三つの時代の謎の身投げの真相は”遊女”の仕業か、何者かの為せる業か。

『碆霊の如き祀るもの』(はえだまのごときまつるもの)

碆霊様を祀る、海と断崖に閉ざされた強羅地方の村々。その地を訪れた刀城言耶は、村に伝わる怪談をなぞるように起きた連続殺人事件に遭遇する。死体に残された笹舟。事件の現場となった”開かれた密室”の謎。碆霊様が遣わすという唐食船とは何なのか。言耶が真相にたどり着いたとき、驚愕の結末が訪れる。

『魔偶の如き齎すもの』(まぐうのごときもたらすもの)

所有する者に福と禍を齎すという”魔偶”。その、奇妙な文様が刻まれた土偶を確かめに、刀城言耶は旧家・宝亀家を訪れる。すでに集まっていた客たちは、話し込む当主と言耶をよそに次々魔偶を収めた”卍堂”に向かうが……。シリーズ第3短編集。

最新刊!『忌名の如き贄るもの』(いなのごときにえるもの)

「この忌名は、決して他人に教えてはならん……もしも何処かで、何者かに、この忌名で呼ばれても、決して振り向いてはならん」
生名鳴(いななぎ)地方の虫くびり村に伝わる「忌名の儀礼」の最中に起きた殺人事件に名(迷)探偵刀城言耶が挑む。
三津田 信三(ミツダ シンゾウ)

編集者を経て2001年『ホラー作家の棲む家』(講談社ノベルス/『忌館』』と改題、講談社文庫)でデビュー。2010年『水魑の如き沈むもの』(原書房/講談社文庫)で第10回本格ミステリ大賞受賞。本格ミステリとホラーを融合させた独自の作風を持つ。主な作品に『忌館』に続く『作者不詳』などの”作家三部作”(講談社文庫)、『厭魅の如き憑くもの』に始まる”刀城言耶”シリーズ(原書房/講談社文庫)、『禍家』に始まる”家”シリーズ(光文社文庫/角川ホラー文庫)、『十三の呪』に始まる”死相学探偵”シリーズ(角川ホラー文庫)、『どこの家にも怖いものはいる』に始まる”幽霊屋敷”シリーズ(中央公論新社/中公文庫)、『黒面の狐』に始まる”物理波矢多”シリーズ(文藝春秋/文春文庫)、映画化された『のぞきめ』(角川書店/角川ホラー文庫)などがある。刀城言耶第三長編『首無の如き祟るもの』は『2017年本格ミステリ・ベスト10』(原書房)の過去20年のランキングである「本格ミステリ・ベスト・オブ・ベスト10」1位となった。

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