◆No.1 笑いと涙の<戦国青春群像劇>登場!
文字数 1,420文字

関ケ原の戦い当時、家康に西軍最強の武将と恐れられた立花宗茂。そのひと世代前の時代、地元・九州筑前に将来を嘱望される3人の若者がいた。美丈夫で剣に長けた勇将・藤木和泉、軍師としての才能に恵まれた薦野弥十郎、そしてその二人を慕い、運命をともにする米多比三左衛門。三人の友情と姫君たちとの恋を描いた戦国の青春群像劇『立花三将伝』をもっと楽しむために、著者・赤神諒氏がウラ話を語る!



人生は、思うようにいかぬもの。
若いころに、ごく親しい人を、色々な形で失った方も少なくないと思います。
特にその人が早くに亡くなりすぎた場合、考えませんか。
――もしも、あの人が今、生きていたら、どこで何をしていたろうか
――今の自分を見て、どう言うだろうか。何を話していたろうか
などと……。
でも決して、その人が現れることはない。会話もできない。
夢の中で話すのがせいぜいで、時が経つにつれ、それさえもできなくなる……。
私にも、そういう人がいます。きっと皆様も、同じだと思います。
それでもその人は、自分の心の中で間違いなく、今も生き続けている……。
そんな思いを込めて、一気呵成に書き上げた作品です。
主人公は三人の若者です。
薦野弥十郎増時、米多比三左衛門鎮久。
この二人は、立花家重臣としてご存知の歴史ファンもいらっしゃるはずです。
もう一人は、藤木和泉。
「ああ、知ってる、知ってる」とおっしゃるあなた、異常です。
あまりにも無名なため、ご存知の方は絶無に近いでしょう。
彼こそがこの作品の一番の主人公なのですが、本当に名もなき将なんです。
史実がないからこそ、自由に書くことができました。
ほとんど私のオリキャラですね。
若者たちには、当然ながら<若い>という絶対無条件の特権がある。
共に笑い、共に泣き、共に戦う中で、絆を深め合っていく。
時代に翻弄される若者たちは、いつの世にもいますが、戦国はよりシビアです。
若者たちがやがて大人になり、それぞれが家を背負った時……
物語でも、藤木和泉は早死にした必然的に無名なのですが、
とても魅力的な人物に描いたつもりです。
読者の皆様に、もしも彼が生きていたら……
と、思っていただければ、作者としては本望です。
『立花三将伝』、どうぞご堪能下さいませ。


赤神 諒(アカガミ リョウ)
1972年京都府生まれ。同志社大学文学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了、上智大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。私立大学教授、法学博士、弁護士。2017年、「義と愛と」(『大友二階崩れ』に改題)で第9回日経小説大賞を受賞し作家デビュー。他の著書に『大友の聖将(ヘラクレス)』『大友落月記』『神遊の城』『酔象の流儀 朝倉盛衰記』『戦神』『妙麟』『計策師 甲駿相三国同盟異聞』がある。