累計7万部突破!の飯テロ小説、「東京近江寮食堂」シリーズ最新作

文字数 1,281文字

 渡辺淳子さんの「東京近江寮食堂」シリーズ最新刊、『東京近江寮食堂 青森編 明日は晴れ』が刊行されました。
 普通のおばちゃんの妙子が、ひょんなことから食堂で働くことになり、下町の人々の心と胃袋を満たしていく人気シリーズ。
 前作までは、滋賀、宮崎のご当地料理が登場しましたが、今回は青森がテーマです!
 何やら秘密がありそうな青森出身の新人バイトや、子連れの新人ママ、セクハラに悩む20代女性などがご来店。人生の岐路に立つ彼らが、妙子の料理で励まされ歩み出す物語です。



 さてそこで、「東京で食べられる青森料理」をご紹介!
 今回は「麺」に注目。作中にも妙子たちが「青森メン祭り」なるイベントをするシーンがあるように、青森は数々の「ご当地麺」を誇る麺天国なのです。
 新高円寺の商店街にある「じゃぐら」さんに「M3ラーメン」なるメニューがあります。
 3つのM、それは味噌、ミート(カレー味のひき肉)、ミルク。それに、卓上のカレー粉を投入して味変を楽しむ逸品。
 これがなんと、青森のご当地ラーメン「味噌カレー牛乳ラーメン」の高円寺版アレンジメニューだそうで。

 四十路の22時に許容可能なカロリーではない気がしつつ、そして名称から想像がつきにくいことにも不安を覚えつつ、注文。
 う、うまい。



 濃厚なスープに、味噌、牛乳、カレー味のひき肉の旨味が溶け合っていて、互いに持ち味を引き立て合う絶妙なバランス感。
 脳天を直撃するまろやかな甘みにスパイスのエッジが効いて、真夏の高円寺なのに、寒風吹きすさぶ冬の青森で身体も心も温まったような――。温かい、温かい味がしたのです。

 青森の誇るご当地麺「味噌カレー牛乳ラーメン」のアレンジ版ですが、「食」とはそういうもの。文化を超えて「誰かにこれを食べさせたい」という愛が、新しい味を作り、元の味を伝えていく。

 渡辺淳子さんの傑作食堂小説も、妙子が愛に溢れた工夫を凝らして、新しい味を作っています。誰かに作りたくなる、食べたくなる、極上の一品ですよ。
 (編集担当Y)

【書誌情報】
『東京近江寮食堂 青森編 明日は晴れ』
青森のご当地グルメ、たくさん出ます!
味噌しょうがおでん/十三湖しじみラーメン/スタミナ源たれ/津軽そば/子和え/イガメンチ/味噌カレー牛乳ラーメン/せんべい汁/飴せん/三五八漬け……and more!

【著者略歴】
渡辺淳子 わたなべ・じゅんこ
滋賀県生まれ。看護師として病院等に勤務。「父と私と結婚と」で第3回小説宝石新人賞を受賞しデビュー。著書に『もじゃもじゃ』『結婚家族』『東京近江寮食堂』『東京近江寮食堂 宮崎編 家族のレシピ』(以上、光文社文庫)、『星空病院 キッチン花』(ハルキ文庫)、戦後すぐの米軍キャンプ周辺に生きた人々の悲喜こもごもを描く『GIプリン』(光文社)がある。

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