[interview] 次世代ファンタジー作家に聞く「世界の作り方」/笹野ちまき
文字数 5,280文字
森を抜けると眼下に開ける青空と、海岸沿いの美しい街並み。正統派ファンタジー世界での冒険を予感させる装幀がひときわ目を引く「星空の魔道書と灰色の竜」(笹野ちまき著・レジェンドノベルス刊)が話題です。
本作で小説家としてデビューした笹野ちまきさんに、本書に登場するゲーム【グラナシエールの創世】の世界が出来上がった経緯をうかがいました。
そうなんです!
「小説家になろう」を始めた当時は、ラストまでどかーんと一度に出した方がいいかもしれないと思って……あとでいろんな人の投稿の仕方をみてたら、一日毎とか、数日おきに、とかが一番いい感じだということに気づきました。その方が、たくさんの読者さんの目に触れる機会が多くなるみたいです。
はい、一度にどかーんと出したら、あまり目に触れないというのが分かりました!
同世界設定の小説(『暝き黒霧の狂王』)の方は一般的な手法(?)をとって連載形式で投稿していたので、そこから辿って、読んで下さったりしてるみたいです。
ここで、笹野さんからいただいた【グラナシエールの創世】の設定を拝見したいと思います。
【グラナシエールの創世】
PCオンラインゲーム。
初期のプロトタイプであるベータ版で十年、正規版は今年で三十年目を迎える長寿ゲーム。作り込まれた世界観と日々進化するシステムは、多くの人に愛され、未だに高い人気を誇っている。
──生まれたての世界【グラナシエール】。さあ、一緒に世界を創ろう──が初期のキャッチコピー。
その初期キャッチコピー通り、エリアはどんどん広がっていき、システムも進化し続け、NPCはまるで生きているかのように動き、今ではまるでもう一つの別世界をみているような、本当は何処かにあるのではないかと感じるほどになっている。
テホム・ワールド・システムズという会社が運営している。
本社は海外にあり、社員は少人数、そのほとんどがリモートで仕事をしているらしい。社長は映像でしか姿を現した事がない。膨大なデータを納めているサーバーは、どこかの海の底にあるらしい。
極秘事項の多い、いまだ謎の多い会社。
『ウイザードリィ』(知ってるひと、まだいますよね……?)とか、『女神転生』シリーズとか。最近のはちょっとしてないですけど、3D探索系が好きで。
マッピング、好きなんですよね……ダメージ床ももれなく乗って埋める。なので『世界樹の迷宮』も好きでしたw 落とし穴にも全て漏れなく落ちる。
進んだ先で何が起こるか、何があるのか分からない、あのドキドキ感と踏破感。好きです。
――3D探索系! 笹野さんの小説を読んでいても、次々現れる新しい街を、キャラクターと探索しているような感じが楽しいです。
探索系、本当に好きなんですよね。ちょっと新し(くもない……か。いや、新しくまた出るみたいだし新しい…と言える!)ものだと、『デモンズソウル』という探索系アクションものにはまってました。
西洋風な世界観に、古城、ダークな雰囲気。剣と魔法。謎。とかそういうのは、結構、いや多大に小説に影響が出ていると思われます。
羨ましすぎる、私もいっぱいしたい〜!! と思いながら書いていました。
多少、羨まし念波が主人公に向かっていっていたかもしれません。それにより、リアルラックの低さに多大な影響がでていたのかも?しれません。だって、私も長時間プレイしたい!
かなり自由度の高い設定にしています。日々強いモンスターを求めて戦い続けてもいいし、家や庭や畑を買ってまったりスローライフ、セカンドライフしてもいいです。第二の世界で生活、みたいな。
高難易度クエストは、それなりにえげつない攻撃をしてくるので要対策です。でないと、冒頭の宵月のような目に……
――わたしはオンラインゲームをほとんどしないのですが、冒頭に出てくる、3冊の至高の魔道書を入手できる高難易度クエストの条件、読むだけでウッってなりました……
セカンドライフエンジョイ系プレイヤーは、ゲームの世界に連れてはいかれないですよね。きっと。
どうなんでしょうか……私の場合は、世界……舞台になる場所は、こういう風景のところに行ってみたいな、から始まります。
こういう場所があったらいいな、だったらそこにはこういう人がいて、こんなのがいたら面白いだろうな、と妄想(?)していって……ひとまずざっくりと世界(舞台)の設定をしていく、という感じでしょうか。
それなら、戦う武器はこういうものを使って、こういうモンスターと戦ってみたい、暮らす人達はどういう生活してるのかな、と、少しずつ、少しずつ世界の中へズームしていく……みたいな……感じでしょうか。
観光、もしくは体験気分?的な。ファジーですいません。
ありがとうございます……!
スズキゴロウさんはTwitterに日参してしまうほどのファンになってしまいました! モフモフ感素敵です。理想のモフモフ……。ゲームでもモフモフは絶対に一人は入れる派です。いつか、ああいう感じのモフモフ小説書きたい……。
――イラストから触発されて1作書くのもたのしいかもしれません!
スズキさんのTwitterの動画、わたしもよく見に行っています。セーラー服女子の動画はシリーズになっているみたいで、ほんと、かわいいですよね…
――さてさて……そろそろお時間がきてしまいました。
最後に、『星空の魔道書と灰色の竜』未読の方に、メッセージをお願いいたします!
『星空の魔道書と灰色の竜』
著・笹野ちまき 装画・スズキゴロウ
【あらすじ】
大学生の松波与一は、気がつくとオンラインゲーム【グラナシエールの創世】の世界にいた――自らの分身であるプレイヤーキャラクター【宵月】として。右も左もわからない森の中、最初に出会った双子のケモ耳少女・レフとライ、そして半竜人のジェイスとパーティーを組み、元の世界に戻る手がかりを探してこの世界を探索しはじめる。
【宵月】の職業は上級職の【魔道学者】。装備するのは、超難関クエストで入手したアイテムであり、神の叡智の一片とされる最強の魔道書――通称「星空の書」。遊び尽くしたはずの世界なのに、辿り着くのは見覚えのない街ばかり。戸惑いながら進むうち、自分と同じく【こちら側の世界】に連れてこられたプレイヤーたちの存在を知る。連れてこられたということは、戻ることだってできるんじゃないのか……!?
コツコツ頑張る系主人公が、家族ため、仲間のために東奔西走。オンラインゲームに魅せられた者がいざなわれる【グラナシエール】の世界と、伝説の魔道書の秘密とは。