【1981年】「窓際」の「クリスタル」族
文字数 2,089文字
「えっ! この作品流行ったのってそんな前だっけ!?」
「この本って、この頃だったんだ!」
目まぐるしく変わる世の中ですが、その中で記憶され続けるのが名作というものです。
しかし、ときの流れは早いもので、過去のできごとの実際に起ったタイミングと、自分の実感にギャップがあることもしばしば。
そんなこともあって、昔のベストセラーをそのころの世の中と照らし合わせれば、驚きや懐かしさがわんさか出てくるのです。
さあ、????年のベストセラーについて語りましょう!
そんな話から始めた理由は、過去のベストセラーを当時の世相を踏まえて紹介する本企画、今回のお題が「1981年」だから。ロナルド・レーガンの大統領就任、教皇ヨハネ・パウロやマザー・テレサの来日、気象衛星「ひまわり2号」の打ち上げ成功などインパクトの強いニュースの多い年ですが、ベストセラーからはあまり政治経済・社会の動向は読み取れません。4位の「神戸ポートアイランド博覧会公式ガイドブック・マップ」(神戸ポートアイランド博覧会協会)から、ポートライナーが開業して「ポートピア'81」が開催されたんだなと分かる程度です。
文芸作品では直木賞受賞作の『人間万事塞翁が丙午』が2位にランクインして存在感を示していますが、やはり1981年のベストセラーで最も有名なのは、黒柳徹子さんの『窓ぎわのトットちゃん』でしょう。1984年に出版された講談社文庫版のあとがきには「発売後、一年間で四百五十万部。現在では、六百万部に近づこうとしています」と記されており、単純な数字だけでも当時の「トットちゃんブーム」がどれだけ凄まじかったかうかがい知れるというものです。
1 窓ぎわのトットちゃん 黒柳徹子
2 人間万事塞翁が馬丙午 青島幸男
3 なんとなくクリスタル 田中康夫
4 神戸ポートアイランド博覧会公式ガイドブック・マップ 神戸ポートアイランド博覧会協会
5 アクションカメラ術(1・2) 馬場憲治
6 この愛いつまでも 加山雄三
7 白ゆりの詩 創価学会婦人部編
8 ノストラダムスの大予言(1~3) 五島勉
9 新・頭のいい税金の本 野末陳平
10 叱り方の上手な親下手な親 田中澄江
出典:『出版指標 年報 1982年度版』