年越し後藤

文字数 2,574文字

年越し後藤

2021年、あけましておめでとうございます。

 え、待てよ後藤、ちょっとちょっと後藤、もう2月だぞ後藤と。そんな声がこちらまで聞こえております。

 そうですよね。こちらはたしか2月号。

 ですが皆さん、掲載が2月号なだけでこれを書いているのは年明けたばかりの後藤なんです。それが締め切りです。

 ゆるくやらさせてもらってます。ありがとうございます。

「小説現代」さん今年もどうぞよろしくお願い致します。

 エッセイ、サイコー!


 皆さんは年越しどのような過ごし方をされましたかね。

 僕は毎年毎年家族でゆく年くる年を見ながら過ごすのが定番だったのですが、こんな時期ですし年跨ぎは1人で過ごすことに決めていました。


 しかし大晦日って1人だとあんなにやることがないんですね。テレビもすごく面白い番組が何個もあったのですが、なんだか1人だとテレビを見ないようになっちゃいまして。

 なんでだろうな。好きだったのになぁテレビ見るの。今あんまり見なくなっちまった。

 面白い番組が増えすぎましたね。テレビつけたら絶対面白いもん。すごいなテレビ出てる人は。


 まぁそんなこんなでテレビもつけず、暇だなぁとSNSで呟いちゃうくらい暇で暇で、そしたらある芸人が連絡をくれたんです。

 そうです。ワタリ119です。大晦日暇している僕をレスキューしてくれたんです。後藤さんいま暇なんですか! 来てくださいよ!! と言ってくれたんです。

 家も近くだったのですぐに向かいました。そして後輩のワタリ119と岡田さんという先輩芸人の方もいらっしゃって、僕は開口一番お礼をいいました。

 本当にありがとうございます。寂しい年跨ぎをするところでした。ありがとうございます! と。


 着いたのが22時ごろだったのでギリ間に合ったのです。すると岡田さんとワタリが言いづらそうな顔をしながら、あの僕たち23時からオンラインの生配信ライブがあるのでその時はいなくなってもらっていいですか? と言ったんです。


 おいちょっとまてワタリと。人を大晦日に呼んで22時から23時までだけ一緒に過ごす人なんていますか?? 絶対にみんなで年越しできると思ったのに。

 結局僕はすぐに帰りました。それが僕の怒り納めでした。

 怒りという感情。2020年もありがとう。2021年はあんまり出てこないで欲しいです。


 23時20分頃に家に着いて年越しそばをやけ食いしました。それが僕のやけ食い納めです。年越しそばをやけ食いするなんて思ってもなかったですわ。結局テレビをつけるとジャニーズカウントダウンがやっていたので、一緒に歌いながらジャニーズと共に年越ししました。

 ありがとうジャニーズ。


 年が明けたらあっという間に仕事始めでした。

 なんとありがたい。深夜の2時からの生放送の日本テレビ様の大喜利の番組に呼んでいただいたのです。しかし僕はFブロックで出番が最後の方だったので3時入りでした。自分が生放送で出る番組のオープニングを家で見たのは初めてです。何度もマネージャーさんに本当に3時入りか確認しました。正真正銘3時入りでした。

 大喜利の出番が始まりました。2位までが上に上がれる1回戦で3位でした。

 しょうもないスタート!!

 最悪!!

 優勝して今年の仕事に勢いをつけたかったのに。その生放送が終わりもう一つフジテレビ様の生放送にも呼んでいただきました。

 みんなサイコー!


 元旦の全ての仕事を終えて、初詣に行きました。

 おみくじをひきますよそりゃ。

 結果は末吉。

 ビミョー!! そんで厄年。末吉厄年。ズッコケちゃうところでしたよ。なのでね、今年に入ってからあんまりいいことが起きてないんですよ。

 そこで気づいたんですけど、いいことって起きるんじゃなくて、起こすんじゃないかなって。

 そう思って何かアクションが必要だなと思い、少し歩いたところにあるスーパーに行ってみたんですよ。いつもと違うスーパーでなにかいいものに出会えるかもしれないと思って。

 スーパーにいると、スーツを着て買い物してる方が正面から歩いてきて、すれ違った時にその場に落ちていた袋に入ったおしぼりをおもっきり踏んで、パンッッてものすごい音を立てたんですよ。

 信じられないくらいびっくりして、うわぁ! って言ってしまいました。撃たれたかと思うくらいすごい音鳴ったんです。

 何あの出来事マジで。袋に入ったおしぼりがそこに落ちてるのも謎だし、真横で踏むのも意味わかんないし、どんだけ空気入ってたんだよってくらい音鳴るしスーツだし。


 いいこと起こそうと思うと悪いことも起きますわ。

 これが厄年なんですかね。

 厄年だとダメですね。全部厄年を言い訳にしてしまって。もうまだ年が明けて5日しか経ってないですけど僕全部厄年のせいにしてますもん。

 末吉も厄年のせいだし、ワタリ119に年越し断られたのも厄年のせいだし、高校生の時にヤンキーに殴られたのも厄年のせいだし、別に君を求めてないけど横にいられると思い出すのも厄年のせい。


 噓です。厄年のせいにしてはいけない。

 全部僕のせいだ。ワタリ119に断られたのは今年じゃないし、ヤンキーに殴られたのも今年じゃない。別に君を求めてないけど横にいられると思い出すのは、僕の話ですらない。

 厄年頑張ります。本当に厄年かいなってくらいいい年にします。

 よろしくどうぞ!!


後藤拓実(ごとう・たくみ)

97年岩手県生まれ。16年、都築拓紀、石橋遼大とともにお笑いトリオ「四千頭身」を結成。おもにツッコミとネタ作りを担当している。

YouTubeに四千頭身公式チャンネル「YonTube」を開設し動画を配信中。

FM-FUJIにてレギュラー番組「四千ミルク」を放送中。

『これこそが後藤』(著:四千頭身・後藤拓実)

人気お笑いトリオ・四千頭身の後藤拓実による初エッセイ!

色んな後藤を召し上がれ!


楽しかった中学時代、しんどかった高校時代、楽しくやりたかった草野球がちっとも楽しくなかった事、新幹線のイスを倒せない事、そして四千頭身の一員である事――。

後藤拓実の24年間の軌跡は、日常を楽しくする「笑い」の魔法に溢れている!


「小説現代」で連載されていた超人気エッセイが、作家・武田綾乃さん、俳優・ムロツヨシさんとの豪華対談も収録して待望の書籍化!


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